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テーマ:ミステリはお好き?(1499)
カテゴリ:Mystery
従姉妹の外狩霞を何者かに誘拐され、伯父戸外狩英一郎の不正取引の証拠となる文書を盗み出すことを誘拐犯から指示された高森穂継。
穂継はその文書を入手するため、親戚一同が集う孤島油夜島の「雷龍楼」へと赴く。 そこは4年前、祖母菫と霞の両親と叔母の薊が、一酸化炭素中毒で死亡した曰くつきの館だった。 4人もの親族の事故死に疑念を持っていた穂継だが、誘拐事件に続き連続殺人にまで巻き込まれる。 従兄の康弘が、叔母夫妻が、秘書の小林が、館内の密室で殺害され、生き残った者の疑惑の眼は穂継に向けられる。 窮地に陥った穂継は、殺人犯を特定すべく誘拐犯と連絡を取り、霞まで交えて奇妙な推理合戦を繰り広げるのだが..... ......しかし作者は「読者への挑戦」でこう断言する。 「油夜島で起きる連続殺人の犯人は****ただひとりである。」 連続殺人犯人****とは誰なのか。 そして霞を誘拐したのは誰で、霞の運命は? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初読作家。 メタミステリー、おそらくクイーンへのオマージュ、クローズド・サークル、多重推理と、私の好きなメニュー満載ではあったが、物語滑り出しから○○誘拐と気付き、「読者への挑戦状」の挿入あたりで作中作ネタと推測できてしまうミステリーオタの悲しさ。 それでもこれらガジェットでどう巧く騙してくるのかと期待して最後まで読む。 推理の手がかりは随所に示されているので、取り敢えず本格ものフェアプレイの要件には叶っており、フェアすぎて、真犯人とか○○トリックなのはバレバレ。 と思いきやラストで明かされる真犯人の特殊能力とその犯行動機も意外性があるというより荒唐無稽。 いや、幕引きは犯人にも探偵役(?)にも滑稽さと同時に嫌悪ら覚えるイヤミスっぷり。 「フェアプレイとは何か」という本質的な問題について、考えさせられるところあったのは良かったし、作者なりに工夫を凝らして斬新な主題と意外性ある物語を狙ったのかもしれないが、ミステリー初心者は騙せても、ミステリー擦れした読み手はこの手は食わないと思った。 もっと巧く手玉に取ってほしかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.11.04 15:04:26
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