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テーマ:ミステリはお好き?(1541)
カテゴリ:Mystery
12世紀のイスラム世界。
詩人にして、聖者列伝の編纂者ファリードは、アリーと名乗る男の語る物語に耳を傾けけていた。 スーフィー(イスラム神秘主義)信徒のアリーは巡礼の途上、導師ハカラーニーのもと4人の行者が集う山に辿りつくが、彼らは閉ざされた穹櫓の中で次々と殺害されてゆく。 犯人は誰か。そして姿なき導師とは何者なのか。 第17回メフィスト賞受賞作。 -------------------- 絶版だったらしくずーと読むことが出来ず、図書館でさがしてようやく手にすることが叶った一冊。 なによりも26年を経た今、作者の2作目「崑崙奴」が出たので、予習を兼ねた復習?のつもりもあって読む。 詩的な文体で綴られる、ミステリの体裁を借りた幻想小説とでもいおうか。 あるいはメタミステリーをイスラム教の世界観で描こうとする試みなのか。 事件の謎やトリック解答は、どこかで見たようなものだが、犯行の動機が独創的で、謎解きの過程も推理というより宗教的思弁によってロジカルになされてゆく。 そのロジックは精緻であり美しさすら感じた。 と、これは私の趣味趣向からの感想で、ガチ本格的ミステリを求める人やイスラム教に興味がない人には なんだこれは? で、一蹴されるかもしれない。 それでも、私はこの作品が漂う虚無感ゆえに好きだ。 以下ひとり言。 イスラム神秘主義の資料、私も読んだ学生時代。 井筒俊彦のコーランの訳もいいなー。 この本自体が、26年の過去のものであることも含めてすべてが遠い目。 だから新作「崑崙奴」は読まずにはおくまい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.12.10 13:39:25
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