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テーマ:ミステリはお好き?(1555)
カテゴリ:Mystery
横須賀基地内で、美貌の女性広報官ハンナ・ジョアキムが、全裸で磔にされた惨死体が発見された。
しかも大量の血痕は基地外で見つかったにも関わらず、彼女が基地を出て戻ってきた記録は無し。 何故、どうやって、犯人は殺害現場から死体を移動したのか。 NCISのケン・レアードとボビー・ジャクソンは捜査を開始し、横須賀市役所基地対策課の泉水沙織と船井豊成、刑事権田も事件の謎を追う。 その矢先、ジョアキムの上司に当たるエリック・オーエン少佐が、反米活動家冬馬武治の自宅の池で、他殺体となって発見される第二の殺人が起きてしまう。 やはり少佐が基地内のオフィスを出た記録はなく、オフィスには血痕が残っていた。 冬馬は被疑者として憲兵に引き渡されたが、彼もまた拘禁中に謎の服毒死を遂げる。 混迷の様相を呈し真相は葬られるかに見えた事件に、終止符を打とうとしたのは、医師であるレヴィア・スター特別捜査官だった。 レアード宅に一同に会した基地内と日本人の関係者を前に、スターは宣言する。 「皆さんのお許しを得て、真相に言及させてもらえるならー 正義は為されるとお約束します」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 米軍基地を密室に見立て、死体移動のトリックを描くという発想は斬新。 とおもいきや、謎が明かされると、なーーんだインチキじゃないというよな、ハウダニットの体をなしていない仕掛けだった。 物理トリックではなく心理トリックだと言い訳すれば、まあそうかもしれないが。 叙述トリックらしき謎の視点人物による記述に相当なページが割かれているが、これも本筋からそれた無駄な冗舌で、犯人(実行役)特定にさして役立っていない。 事件の黒幕側の描写にしても、推理のヒントをフェアに読者に与えていないと感じた。 そのくせ、ロジカルに考察しなくても実行犯や怪しい人者は何となく解ってしまうので、フーダニットとしては片手落ちだろう。 第二の殺人の捜査段階で、被害者遺族にへの調査の描写がまったくないのも不自然で、黒幕隠匿の手段としては悪手だろう。 視点人物を捜査役と最後に登場する探偵役に絞ったほうが、謎解きの緊迫感も高まったのではないか。 謎の構築の着想と、犯行動機の特殊性が興味深いものだっただけに、余計なお飾りやお喋りの冗漫さがミステリとしての興趣をそいでしまったようで 通底する犯行動機の「レイシズム」も切実に伝わってこなかったのが惜しい。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.01.14 13:08:38
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