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テーマ:ミステリはお好き?(1599)
カテゴリ:Mystery
投資会社の電子商取引違反で前科一般となった後藤望は、次の一手としてサークルの同志だった金子千香とともに新興宗教BFHを興す。
大学の後輩天羽七希を教祖に祀り上げてバズッた勢いに乗り、岩手の無人島月蝕島で重課金信者を集めたツアーを敢行する。 しかし、滞在2日目、参加者の一人が首無し死体となって発見される。 3日後まで迎えの船は来ない。 姿なき殺人鬼によって、一人、また一人と殺されてゆく者たちに神は救いの手を差し伸べず、沈黙しているのか。 そして最後に残った者は果たして...... -------------------- 孤島のクローズドサークルもの、ということでまたしても「そし誰」の本歌取りかと思って読み始める。 宗教問題を扱ったプロットが私の好みで、こんな「そし誰」弄りなら大歓迎。 人物一人一人のキャラが描き分けられており、ストーリーの運びもわかりやすく、かつスリリングな筆致は巧妙に感じる。 探偵役不在で各人物ごとに視点が移ろうことで、物語に取り込まれてゆく感覚があった。 推理のロジックだが、どうせ死んだはずの人物が生きていてそいつが犯人、このパターンだとツアーの○○側がーーーーと見当を付けた。 概ね当たったが、死んだと見せかけるトリックと犯行動機は意外性があり、犯人指摘からのラストへの展開にまで意外性があって作者に手玉に取られたと思った。 犯行動機を荒唐無稽と取るか、ある種の狂信からの異常心理なら腑に落ちるとするかは意見の分かれるところだろうけれど、エンタメ性の中に隠された重いテーマが、ラストにかけて表れるれのも盛り上がって良し。 私は勝手このミステリーから、神なき人間の悲惨や、神は沈黙して人間を救わないのか といった隠れたテーマを読みとった。 それも本作の刺さって感心させられた点だが、あくまで勝手な個人的主観です。誤読でも御容赦のほど。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.06.10 11:23:56
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