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テーマ:ミステリはお好き?(1645)
カテゴリ:Mystery
1860年。
日本から使節団が訪れた万延元年のニューヨークで、起きた怪事件。 プロの殺し屋ランボーナが刺殺されたのを皮切りに、使節団歓迎委員会の一人が殺され、一人は失踪し後日遺体となって発見される。 いずれも死体のそばには、切り取られた聖書の一片が置かれていた。 謎は謎を呼び、事件は連続殺人の様相を呈していく。 アトランティックレビュー社の記者ウィリアム・ダロウと挿絵画家のフレーリは難破船でアメリカに漂着した日本人、ジューゾ・ハザムの協力を得て真相の解明に挑む。 -------------------- 歴史本格ミステリーというより、重厚な歴史フィクション。 当時のアメリカの政治的背景、奴隷解放問題の描写の中に事件の謎が埋もれてしまうしまうほどに歴史小説としての比重が重い。 読みやすい文体で、複雑な物語の展開の詳細を記述しているが、二段組み471ページの長大さ付き合うのは、さすがに読み疲れがした。 疲れたところへ解決編は、フレーリの一人語りの記述に終始するのでは一層疲労感がまして謎解きの面白さが半減する。これでは日本人ジューゾを登場させる意味が感じられない。 歴史小説として読めば題材、描写とも優れているのだろうが、ミステリーとしての謎の提示は前半部魅力的だったのに、終盤の事件解明の描き方が感心でず残念な読後感となった。 ミステリーとは、謎そのものの魅力だけでなく、謎の解明の描きかたで、読み手を魅了するものと思っているので。
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Last updated
2025.10.02 12:36:09
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