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テーマ:ミステリはお好き?(1644)
カテゴリ:Mystery
南ナイルランドの内乱のさい、「かけつけ警護」要因として派遣された7名の自衛官。整備隊員三崎が現地で亡くなり、帰国後、女性自衛官で救命士の小島美希は自殺、看護師のつかさは体調不良で入院した。
ナイルランドで何が起きたのか。 なぜ三崎の遺体は現地に置き去りにされたのか。 もしや現地で「戦闘」が起きたのではないか。 真実を知りたいという三崎の両親の依頼を受け、衛生部メンタルヘルス官の神谷啓介は医官相沢倫子の協力を得て、隊長葛城はじめ関係者と面談するが、全員の証言は食い違っていた。 隊員たちは何を隠しているのか。 藪の中のさらなる闇に分け入るようにして、神谷が辿り着いた恐るべき真相とは。 -------------------- 第22回日本ミステリー文学大賞新人賞。 新人らしからぬ、興味深い主題、物語の展開の妙味、適切な文体と揃った、破綻のない仕上がりの意欲作。 重厚で深刻なテーマが、簡明かつ臨場感ある筆致で伝わってきてページをめくる手が止まらない。 この面白さは、大岡昇平の「野火」を読んだときに通じるものがある。 と、こう言ってしまえば、本編での隠された事実がなんであるか、ネタバラシしてしまったようなものだが。 ミステリー要素として 最初から全員が嘘つきは分かっているので なぜ嘘をつかなければならないのか。 隠している重大な秘密あるいは謎とは何か。 と、フーダニットよりホワイとホワッツが考察の対象になるのだが。 私はこの謎の答にかなり早く気が付いた。 だって 戦地の極限状況で人間が犯す罪.....殺人ではなくて、あれしかないでしょ。 種や仕掛けがわかってもなお興趣が薄れないのは、ミステリーのジャンルを超えた、小説としての (敢えて戦争小説といいたいが)魅力があるからだろう。
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Last updated
2025.10.06 13:50:19
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