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テーマ:ミステリはお好き?(1645)
カテゴリ:Mystery
「銚子のドン・ファン」と呼ばれた資産家、野島耕三が急性覚醒剤中毒で死亡し、55歳年下の元妻、坂井由起が殺人容疑で逮捕された。
由起の弁護団の一人、芝山法律事務所の弁護士森本里奈は由紀に接見するが、彼女の不可解な態度と証言に翻弄される。 森本は由紀の無罪を確信できぬまま 野島と由紀を巡る人々への調査を進めるうちに、野島の会社「野島エステート」の社員浦野が交通自故死していることを知る。 さらに、野島が遺言状で全財産を寄付するよう指定したNPO法人「銚子クレイドル」の職員西岡加奈子も投身自殺をはかる。 関係者二人の不審死は偶然だろうか。 そして由紀が無実だとしたら真犯人は....... -------------------- 紀州のドン・ファン殺害事件をモデルにしており、実際の事件の概要に忠実なプロットになっているが、解決編は作者のフィクション。 リーガル・ミステリーを期待したが、法廷シーンはほぼ描かれず、森本の調査の過程が中心の内容だが、それなりに面白く読んだ。 ただし登場人物の誰にも共感が持てず、森本による彼らへの聴取の会話ばかりなことには、嫌気がさしたのは正直なところ。 何よりも森本が嫌な人物像に設定されているのが、妙にリアリティを感じさせて、逆説的に読み手の関心を引く。 残念ながら、由起をはじめ関係者全員が信用ならない語り手であろう、というバイアスがこちらにあったため、「真犯人」が当てられなかった。 これは作者がすべての人間を疑う、ミステリ読者の心理を逆手に取って仕掛けた技巧だろうか。 だとしたらそれは成功していると思えた。
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Last updated
2025.10.10 11:34:58
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