ロボザムライ( 飛鳥京香・ 山田企画事務所)

2014/07/01(火)22:40

ロボサムライ駆ける■第39回

ロボサムライ駆ける2014版(78)

ロボサムライ駆ける■第39回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 you tube manga_training    大仏は地下大空洞の中へ落ち込んでいく。 続いて後を追って飛び込む主水。 主水は何とか地面に立っていた。 「ここがお主と私の死のリングぞ」  黄金大仏に叫ぶ主水である。  空いた穴から光りがさしこむだけで後は真っ暗である。 大仏はゆっくりと立ち上がる。足元はかなり窪んでいる。 ゆっくり、暗渠の中を見渡し、ようやく主水を見つけた。  にやりと笑ったようでもあった。法衣の裾さばきも良く、ぐいぐいと主水の方に近づいて来る。身長三十メートル。主水の体が小さくて、目に入らぬのではないかと思うくらいである。急に腰を屈めてくる。  足が跳んで来た。踏みつぶそうというのか。主水は真上に剣を突き上げた。刀が何かの中に入っていく。  大仏の足の裏に突き刺さっていた。一瞬の後、主水は足の先より逃げていた。 「ぐわっ、ぐわっ」  大袈裟な反応が大仏ロボットより返ってくる。 無論タイ語でしゃべっているのであろう。 おや、思ったより、皮膚が柔らかいらしい。  ハイチタンではないようだ。二本目の刀、愛刀ムラマサをもって、目の前にある足の上を、刀の刀頂を支点にして飛び越してみる。 「ぐわっああ」  すっぱりと,刀ムラマサの通った後に傷が残っている。  見かけ倒しだ。 痛点があちこちにあるらしい。主水は右足から臑、大腿部と続けて飛び上がる。  大仏はすばやく動く主水を見つけられないようだ。  よろしい、それならと、背中から首もとへ。主水は動く。 左右の手を背中にまわそうとする大仏ロボット。だが、 「かゆいところへ手は届かぬ」ではないが、肩のジョイント部分が正常に作動しない。手が回り切らないのだ。  主水を探す左手のひらを再び刀で切り下ろしてみる。大仏の手のひらに生命線が切り刻まれている。 「大仏よ、お前の生命線が長くはないぞ」  つぶやく主水。  背中から首へ飛び上がった主水は、首の痛点に刀を差し入れる。  よくよく考えれば、大仏は武器を持っていないのだ 。大仏の武器はその体なのである。 伸びる指にすばやく指紋を刀で刺される。大仏との闘いは、ほとんど主水のペースであった。  これには当のロセンデールですら、気もつかなかったであろう。 「くそっ、タイの大仏はこんな不良品だったのですか。単なるでくの坊じゃないですか」  ロセンデールは歯がみする。 「いや、大仏ならぬおだぶつですよ」  まわりにいたクルトフがなれぬシャレを言う。クルトフもやけくそである。 「クルトフ、君まで」  ついに顔のうえで飛び上がった主水の剣ムラマサは、耳、鼻を切り落とした。  とどめに両眼を突き刺す主水。まるで生身の体をもつ大仏はゆらゆらと揺れ、ドウと大地に倒れた。  大仏の体は、どろりと、ゆっくり分解する。 大仏の体は、バイオコプターの機体集合体となり、それもくずれ、バイオコプター飛行士の体がどさりと出てくる。  主水は片手で死体を拝む。 このタイの大仏は、小型バイオコプター40機が合体してできていたのである。それゆえ、移動も簡単なのであった。 「大仏ロボットやぶったり」  主水は雄叫びを上げた。 (続く) ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■ 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikku.com/ 

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