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東京地下道1949(飛鳥京香作品●山田企画事務所)

東京地下道1949(飛鳥京香作品●山田企画事務所)

地下道1949■第4回

地下道1949■第4回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

地下道1949■第4回 

竜のぞす黒い顔がうなる。
「ああ、おおありだ。このグループの方針て奴だ。なんで全員が一度、‘お前さんの前で獲
獲物をお広げるなあやならないのだ。でめえでとった獲物は、総て自分の物でいいじゃない
か」
「鉄。グループの掟を忘れたのか。相互補助ってのがグループの基本のルールなんだぜ。
お前、それとも忘れたのか。お前がアメリカ保安部隊に撃たれ、熱を出し、うなっていた
時、皆に看病してもらったことを」
「それはそれ。これはこれさ。力のある者が、より多くをちようだいする。これがあたり前
だぜ。涙ちょうだいの平等主義なんて、、アメ公だけでたくさんだ。ゲップがでるぜ。わかっ
たぜ。このグループを抜けさしてもらうさ」
「ああ、でていけ」
「兄さん」
 竜の妹の恵が、兄をなだめようとした。そして鉄に言った。
「鉄、いま、グループを離れるのね危ないわ。アメリカ保安部隊がベビーギャングを
しているのよ。特にあなたは凶悪な部類ウエオンテッドにリスト・アヅブーれているわ。
考え直しなさい。グループには、いえ、兄さんにはあなたが必要なの。まして、明日の食糧
車襲撃はどうするの」
 「恵、お前には世話はなっているが、これだけはどうもな。俺は、やはり、集団行動ってのが性にあ
わないんだ。それに俺には、この守り神があるからな」
 鉄は愛しい子供の様にナイフをなでる。
「ほおっておけ、恵」
 竜のきびしい声がとぶ。

「このトカレフはもらっていくぜ」
 鉄は、トカレフに再び手をのぱす。竜の拳銃が火を吹く。
あたってはいない。
「伺をするんだ」
 鉄は、反射釣に竜にナイフを投げようとし、一瞬思いとどまった。

「よしな。そのトカレフは、置いていくんだ」

 鉄は竜をにらんでいたが、しばらくして、ニヤリと笑う。
 「わかったよ。トカレフは、竜、お前さんへの最後のプレゼントだ」           
 鉄は、アジト入口のドアを開け、荒々しぐでていった。
不思議なことにカバンの事はー言もいわなかった。
 静寂があった。               
 「さあ、みんな気にする゛な、それよりカバンの中が問題だな」      
 カバンの中は書類がほとんどで、ずぶぬれたった。ロシア語でかかれていた。
  一片の紙片がビニール袋につつまれていた。 こっちの方は日本語だったが、古い文字でく
づし字であった。
「どうやら地図のようだな」
 仲間の一人が言う。 
「まん中の大きな部分は、江戸城の様だな」
「金になりそうか。」
「わからん。伊藤にでもみせるか」
 突然、暗闇になる。
部屋じゆうの明かりであるロウソクが、消えている。
誰かが竜をなぐりつけた。物音がしやた。
皆一瞬、身動きができなかった。

気をとりなおした者が、ろうそくの火を再びつけた。
数本のナイフが、壁や机にささっていた。
ナイフの刃が、部屋じゆうのろうそくのしんの部分をぶち切っていたのだ。
「おい、見ろ、地図がないぞ」
「くそっ、鉄のしわざだ」       
「まだ、間に合う。おいかけよう」
「そうだ。いまなら、すぐ近くにいるはずだ。」

「やめて分け」
竜がー声いった。
「なぜですか。竜さん」
「今日はもう、遅い。これ以上争いたくはない。闇やみでは不利だ。ナイフはあまり音
をたてないからな。それに、明日は、大仕事がまっている。体を休めて分け」
不承不承、部下の連中はこたえる。
「そうですか。竜さんがそう分っしゃるなら」
「くそっ、鉄の奴、こんどあった,らただじゃおかないぞ」
「おまえの腕では、鉄に殺されるのがオチだぜ。やめておけ」
「そういわれりゃ、そうだな」変に納得している。
 皆、笑った。
「よし、皆、明日にそなえて、もう寝るんだ」
 恵は、兄の竜に言った。
「兄さん、ありがとう。鉄を追いかけないのね」
「おしい奴だぜ、あいつも」
といいいながら、竜はでかける準備をしている。
「で、それは、兄さん、どこへ行くの。」
「明日の下見だ。俺だけな」
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/



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