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東京地下道1949(飛鳥京香作品●山田企画事務所)

東京地下道1949(飛鳥京香作品●山田企画事務所)

地下道1949■第16回最終回

地下道1949■第16回最終回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/ 

兄公介、との別れを悲しみながら、竜は下の地下道へ降りていく。
恵は、やっと気がついたようだ。
「恵、驚くよ。、兄さんと合ったぞ」
「公介にいさんですった、なぜ起してくらなかったの」
「ロシア人が追って来ていた。早く逃げ出さないとまづかったんだ」
「兄さんは」
「元気だった、きっと、俺たちを探してくれると、約束した」
恵は回りにきづく。
「この道は、地下壕と遠うようね。」
「そうさ、みて驚くなよ」


地下道本道にたどりついた時、ソ連兵の小隊が、シュパーギン短機関銃
を構え待ていた。
 「ちくしょう」
「何でなの」
 竜が、銃を撃った。
機関銃弾のシャワーが、3人の体に降り注いだ。

ロシア人の軍曹が、子供であったものの死体を足で蹴った。
「子供だな。俺にも、故郷にこれくらいの子供が、、」
「セルゲイ、感傷は無用だ、早く片付けろ」
ロシア人の軍曹セルゲイの上役の政治将校が、言葉を投げつける。

 ムサシのアジトの二階で、乾公介は独りごちた。
「ゆるしてくれ、竜介、恵。お前たちの死はけっしてむだにはしない。日本のためなのだ。
お前達の事件であの「地下道」のことが、外部にもれては困るのだ。

 ソビエト軍が、この地下道を使用し我々アメリカ軍を攻撃することをアメリカ情報機関OSSはすでにつかんでいるのだ。アメリカ軍は彼らを、待ちぶせし、占領地区で圧倒的優位に立つのだ。このうらぎり的なソ建の進撃に対して世界の世論は米軍に有利に働く。
 
さらに米軍の力を借り、余勢をかってソ達軍を、日本から追放するのだ。日本を統一する
のだ。国が二つに分断されている事程不幸なことはないのだ。例え、日本が米軍に完全に
占領されていようと、アメリカ軍という、一ケ国の占領の方がよりましなのだ。
 あくでも米軍はこの地下トンネルの事を知らないことにしなければならない。地図も
我々の手には入らなかったのだ。

俺は、特攻隊として出撃し、死ねなかった男だ。仲間たち、戦友のために、少なくとも父母
の土地日本のために死んでいった戦友たちのために、日本を統一復興させなばならん。

例え、暴力に暴力をもちいても、このプランをなしとげなければならん。俺のこの命は日本のために、一度死んだのだ。
恵、竜介よ、俺も間違いなく、お前たちのそばに行く。待っておくれ。俺の命もおそらく1か月とは持たないだろう。その間に、ソビエト軍が、あの地下道を利用して、攻撃してくるのを
俺は期待する。いや、きっとくるはずだ]。

 地下道にまよいこんだ戦争孤児.3名が銃殺されたーケ月後。

東都新報1九五〇年十二月十四日夕刊
「本日未明、占領ソ連軍はトウキョウ市後方にある米軍
貯蔵兵端地への奇襲を行った。宣戦布告はなく、
べ突如強襲を行な?だ。どの攻撃はあらかじめ入念に計画されていた。
分断線の地下をくぐり、巨大な地下侵攻トンネルが秘密裏に建設されていた。

わが勇敢なる米軍は、すぐさま反撃に転じ、逆にトウキョウ市分断線を越えで
ソビエト占領占領地区へ進撃中である」

1949年当時のアメリカ戦死者名簿に、一人の日本人の名前かある。
「乾公介ー通訳1949年11月14日。
ソ連軍進撃の際、前線にて機銃弾を受け即死。
24才。係累及び家族なし」

(完)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


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