アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー飛鳥京香●山田企画事務所

2007/08/19(日)18:00

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第14回

トリニテイ・イン・腐敗惑星(34)

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第14回 (飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ 第14回 (第7章) 「チャクラったら、本当にこんな不細工なかっこうで外へ出ていけというの」 今トリニティが着ている外出用の服は、学習機で学んだ古代の重い潜水服にそっくりだった。 「イヤよ、こんな装備。レディのかっこうじゃないわよ。チャクラってフアッションのセ ンスはゼロじゃない」 「いいじゃないか、お前のフアッションセンスの方がおかしい。これは非常に安全なのじ ゃ。実用的なのじゃ。お前の成人式のため特別にあつらえたのじゃぞ」 「重たい装備!なんで、ここにずっーといちゃいけないの」 「トリニティ、ききわけのない子じゃ。子供はいつか巣立つものじゃ」 「いいのよ、あたしは巣立たなくても」 「わがままを言ってはいかん。これは運命なのじゃ」  運命。その言葉を聞いた時、トリニティは『君に命を預けにきた』と言った男を急に想 い出していた。あれは誰だったのか?。想いが一瞬、トリニティの頭をかすめた。 「あーあ、あたしって不幸な女だわ」 「トリニティ、不幸かどうか、お前の年令でわかるものじゃないぞ」 「わかるわよ。いやという程、この世界のことを学習機で勉強したんだから」 「学習機の授業など、過去の遺産にすぎん。現実はもっと厳しいぞ」 トリニティは今まで通ったことのない通路をあるかされていた。 「何、この通路」 「外へでるための通路じゃ。そこにエレベーターがあるじゃろ。それに乗り、表へでるの じゃ」 エレベーターにトリニティが乗ると静かにしまった。  内線電話でトリニティがしゃべる。 「悪いが、トリニティ、わしは表へいけないからの。お前一人でがんばるんじゃ」 「それで、チャクラ、いつ帰ればいいの」 「何をいっとるのじゃ、ここへは2度と帰れん。それは産道エレベーターじゃ。お前がで ると自動的に破壊される。一方通行じゃよ」 チャクラは恐ろしい事を平然と言う。 「そんなのないわよ、チャクラ」 (続く) 1995年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/

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