2014/02/13(木)12:33
宇宙から還りし王(山稜王改題)第6回
宇宙から還りし王(山稜王改題)第6回
(1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training
絶壁をようやくはいあがったケインに何の感動もなかった。これ
からおこるであろう危険に体をこわばらせていた。
が、あたりの風景には少し心が動く。他の人間にはやはり感動的
なものだろう。
そのジャングルだった。
子供の頃、学習場でVTRを通して見たことのあるジャングルが
ここに存在していたむだ。
このラシュモア山は高い山の上で、低温のはずだ。
が、ここはまぎれもなくジャングルであり、ジャングル独特のム
ッとした熱気がケインの体を包んでいた。密林のため遠くの方まで
見渡すことなどできはしない。遠ともない。
ケインはどう進めばいいのか、考えあぐねていた。
「お前、どこへ行くつもりだ」
ケインの背後から声がした。
それは、生き物の声ではなく、造り物の声だった。
ケインはうしろを振り向く。
キメラ怪獣だった。
この世の中で一番醜いと言われる「アゴルフォス」がしゃべっている。
豚の顔に大きな角をつけ、全体にぶょっとしたあざらし風の皮膚
をしている。短躯で、おまけに三対の眼は、あちこちを見ている。
その六つの目玉が常に勤いていて、おちうかない。しっぽももうし
わけ程度に付いている。
「シャナナ宮殿」で、護衛をしていたキメラ獣がアゴルフォスだった。
が外見とは違って頭は良い。がなぜフゴルフォスがこんな場所にい
るのだ。ケインは考えた。
「そういうお前は何者だ」
ケインは逆に問いかえした。
「我輩の事を知らんだと」
アゴルフォスは気持ちの悪い笑い声をあげた。
(続く)
■宇宙から還りし王(山稜王改題)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●動画manga_training