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飛鳥京香「日本人の時代ージャップスデイズ」

飛鳥京香「日本人の時代ージャップスデイズ」

ジャップス=デイズ日本人の日々■第4回

ジャップス=デイズ日本人の日々■第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
第4回


消防車が、徽から続々とやってきて、放水していた。
続いて救急車がやってくる。
負傷者を担架で運んでいる。
ケンはジュンと博士の姿がないかどうか、救急車の間を歩きまわっている。

 やがて、二人の警官が、博士の秘書を連れて、ケンの方に歩いて
きた。秘書がケンを指さす。
 大男の方が、ケンに言う。
 
「ケン=アサガ、爆破事件の参考人として、署に来てもらおう」
 「何を言っているんだ、僕は関係ないぞ」
 やせた警官が、秘書に尋ねた。
 
「この男に間違いないかね、ミス=グリーン」
 「ええ、この人です。よく、ジュンの所へ来ていた人です。この人
が帰ったあと、爆発が……」
 秘書は泣き崩れる。
 
「OK、ミス=グリーン。ありがとう」
 大男の警官がいう。

「とにかく、君の帰ったすぐあとで、バルボア研究所が爆破された
んだ、とにかく事情をきかせてもらおう」
「僕は今、急いでるんだ」
「いいか、日本人め、お前は容疑者なんだぞ」
 やせた方の警官がいう。

 「何を言ってるんだ。ジュンは僕の恋人だったんだぞ」
 「うそよ、彼女はこの日本人の事をいやがっていたわ」
ミス=グリーンはアサガを攻撃する。
 ミス=‥グリーンが泣き叫んでいた。

 「今日も、何かもめていたようだったわ、部屋から出てきた時、ま
っ青な顔をしていたもの」

 「違う。僕はバルボア博士から大変な事を聞いただけだ」このミス
Hグリーンは何をいいだすんだ。
 「ほう、どんな大変な事かね」
 「そ、それは」
 「OK、とにかく、署に来てくれ、それからだ」
 ケンは急に怒りがこみあげてきた。近づいてきた、やせた方の警
官に足払いをかけていた。
 
「こいつ何をする。さからうつもりか」
 電撃ショックがケンのみぞおちにはいる。太った方の電撃銃だ。
 ケンは意識を失なった。

 「いやはや、手をやかせるジャップだぜ」
やせた警官が言う。

 バルボア研究所は焼き崩れていた。
 

カリフォルニアの第54分署の前にワゴンが止まる。
サイドにはINSとプリントされている。
「INS」イコール「情報ネットワークサービス」である。

 車から、金髪、碧眼のヤッピー風スーツをきちっと決めた男と、
情報サイボーグが降りてきた。
情報サイボーグの頭の上には金色のリングが浮んでいた。
このリングは地球上空のサテライトから命令を受ける受信器だった。

 が、その金色のリングが、天使のリングを想わせるところから、
人々は情報サイボーグをヘブンズと呼んだ。天国に限りなく近い奴
らである。

 「ここが、ケン。アサガが収容されている第54分署です」
 ヘブンズのフアットが言った。
彼は黒いサングラスをかけている。
彼の眼は情報アイとなり、人々の心を見通すことができるのだ。
 ドアを開く。やせた警官が言った。
「お前らは何者だ」
 男は光輝くバッチを警官の前に附げる。
男は偉高々に、警官に言った。
 「いいか、我々は「情報ネットワーク」のものだ。バルボア研究所の爆
発犯人としてケン=アサガをもらい受けにきた」

 助手のフランが叫んでいた。やせた男の方だ。
 「クレイモア保安官、奴らの思い通りにさせておいていいのですか」
 大男の警官クレイモアはにかにがしい顔をしてフランに言った。
「しかたがあるまい、フラン、奴らは大統領のバッジをもらってい
るんだ」
「大統領のバッジですって」フランは驚く。
「悪く思うなよ、フランとやら」
「くそっ、情報マフィアめ」
 フランは思わず口ばしっていた。
「いいから、フラン、彼らにケン=アサガを渡してやれ」
「しかし、まだ気を失なっていますが」
「それでもけっこうだ、私達が世話をしよう」
情報サイボーグの1人が言った。
(続く)
1988年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


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