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SF小説「アイランド」山田企画事務所

■アイランド■第5回

■アイランド■第5回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.co 

 機動兵サージャント(連邦軍軍曹)、マイケル・ブレナンが、
命令を下す。屈強の機動兵を前に。
 「キャノン、どこに侵入者がいるか、早くピックアップしろ」
 キャノンニ等兵は、生動体スキャナーで、アリスフアーム全体
をサーチする。

 「ちぇっ、皆、同じ顔をしてやがる」
キャノンは毒づいた。
 バイオノイド=ママ、アリスは確かにステロタイプだ。アリスフ
ァームはいわばアリの王国、各々のアリスの住む房には丁人のアリ
ス。ただしアリスの体には、シリアルナンバーが打ち込まれてい
る。各々のアリスの生みだすバイオノイドは、タイプ別、職能別に
形態が異なっていた。

 ブレナンはいらだっていた。
レッドアラームがついてから、すでに、一時間がすぎている。
機動服の中で冷汗が流れていた。
 「キ十ノン、まだ、発見できないのか」
 「サージャント、だめだ。このアリスHファーム内で乱反射がおこ
 っている。発生源を確定できないんだ」
 「ちぇ、伺をしているんだ。スキャナーがやくにたたんというのか」
 早く発見せねば、機動兵の名誉にかかわる。
「よIし、しかたがない。アリスを総ての房から出して整列させろ、
いいか気をつけろ」

 アリスは考える。
この子を渡してなるものか。
そりゃ、少しばかり変った子だけれども、私の息子なんだ。
おまけに宇宙から帰ってきた子なんだ。
今、私にはこの子しかいないんだから。アリスは他
のアリスに自分に同調してくれる様に頼んだ。

もちろんアリス全員が同調してくれた。
とにかく、かわいい、自分の子供なんだもの。

 「こいつら、皆、何か、たくらんでるんじゃないですか」
 デルタニ等兵が、サージャントHマイケルに言った。デルタは神
経質に目をきょろきょろさせている。
 「どう考えてもおかしいですよ。これだけ探してもわからないなん
て」
 キャノンも同調する。

 「メイン=コントロールルーム、俺だ。機動兵、サージャント=
ブレナンだ。助けがいる。今だに侵入者を発見できんのだ。アリス
ファームをクリーンにしてもかまわないか」
 マイケルは、メインコントロールルームに連絡をとる。

 クリーンにするとは、現在ここにいるアリスを全員処分してしま
うという事だった。

 アリスたちがそれを聞いてどよめく。
1人のアリスが機動兵の方へ駆け出してきた。

 「デルタ、やれ」マイケルが叫ぶ。
 このアリスは、機動兵連の集中攻撃を受ける。体がずたずたにひ
きさかれた。
 それを見ていたアリス達が、全員機動兵にむかってくる。

 私達の子供を守るために、始めて、権力にはむかったのだ。銃火
が、アリス=ファームをなめつくす。アリス=ファームは大混乱に
おちいった。

 「コントロールルーム、クリーンにしろ、アリス達の反乱だ」
 マイケルがインカムを使い、叫んでいた。
 「OK、マイケル」

 コンソールルームのスイッチがおされる。アリスファームに
毒ガスが吸入される。機動兵達はバイザーをかぶっているので大丈
夫だ。

 アリスファームに静寂がおとずれた。
 「OK、一人一人チェックしろ、キャノン」
 「サージャント、千人はいますぜ」
 「嘆くな、それに気をつけろ、侵入者が混じっているなら、死んで
いるとはかぎらん。急に襲いかかってくるかもしれんぞ」
「驚かさないで下さいよ」

 機動兵は、アリスたちをチェックし始めた。
マイケルの言う通り、あのアリスは生きていた。胎室にいるビィ
Iの力だ。いやそれよりもビィーに同化しているクワノンの力とい
った方がいいだろう。

 デルタがこのアリスに銃口を向けた。アリスは銃口をにぎりしめ、
デルタの体をたぐりよせる。
「うわっ、な、なんだ、こいつは」
 アリスは、デルタの体を機動服ごと抱きしめた。
「や、やめろ、やめてくれ」
 デルタは機動服の内で、自分の骨がボキボキ析れていくのを感じ
た。
フロアになげだされる。アリスのIけりで、デルタのバイザー
デルタの頭を人わて壁まで吹き飛んでいた。
 「うわっ、デルター」

 キャノンは、一部始終を宛て、銃口をアリスに向け、乱射する。
が、マグナム弾はアリスの体にはじきかえされている。
「くそっ、化物め」
「いい、皆のかたきよ」
 アリスは、素早く、キャノンの体まで走りより、右腕で、キ十ノ
ンの体をひとなぎした。
「グアッ」

 キャノンの体も、機動服の胴体ジョイント部分で、真二つにたた
き割られていた。キャノンの上半身は血しぶきをあげながら、走っ
てきたマイケルにぶちあたる。

 マイケルの体は床にたたきつけられる。
 「くそっ、侵入者を発見したぞ、気をつけろ、怪力だ」
 マイケルはインカムで叫ぶ。バイザーはキャノンの血のりで前が
見えない。

 アリスは、その間、三人の機動兵をなぐり殺していた。
 「ドアに近づけるな、ドアをロックしろ」
 アリス=ファームのドア前で、残った機動兵が、近づいてくるア
リスに、重機銃をぶち込む。が、効果はない。

 機動兵四名が、同時にアリスの体を押ざえ込もうとする。恐るべ
き力だった。アリスは四名を、アリス=ファームの20mの高さにあ
る天井まで投げあげた。機動兵たちの体は、チタン構造のプレート
を突きやぶり上のフロアの間しょう材にぶちやぶり、それから再び、
アリスフアームまで落下した。即死だった。

 アリスは何事もなかったように、ドアに穴をあけてでていった。
 『かあさん、すばらしかったよ』
 『あなたが力を与えてくれたのね、ビイー、私はおかげて、ママの
仲間のかたきをうてたわ』
 「いかん、アリスが脱出した」
血へどをはきながら、マイケルが叫
んでいた。血まみれのバイザーをぬぐう。眼の前には、累々たる屍
が吼えた。
 アリスは、ゆっくり回廊を歩き始めた。

 「どこへ行けばいいの、ビィー」
 「お母さん、僕の指示通りに歩くんだ。とにかく、このタワーから
脱出しよう」
 「そうね、ここは人が多すぎるわ、あなたを育てるには、もっと静
かな所が必要だわ」
 『そう、まず、僕は、あなたの体から分離しなければいけない。そ
のためには時間と、安全な場所が必要なんだ。母さん、がんばって
ね。とりあえず形のない僕としては、母さんに力をさずけ、母さん
にがんばってもらうしかないんだ』

 「わかっているわ、ビィー、とにかく、あなたを安全に生まなけれ
ばね。タワーから早く脱出しましょう」
 「かあさん、走って。新手の機動兵がやってきたようだ。今度は装
甲車に乗っている」
 「マイケル、あいつか」車長が言った。
 「そうだ。あのアリスだ」マイケルは装甲車のコックビットによう
やく体をのせていた。
 「よし、ダムダム弾を発射しろ」車長が叫んだ。
 「しかし、ここはタワーの回廊ですよ」砲手がいう。

 「かまうものか、あいつをほおっておいてみろ。タワーごと、ふき
飛ばされるぞ」
「そんなばかな」
「ばかな事がありえるんだ。早く射て」
 装甲車から発射された砲弾は、アリスの体へ直進する。
『さあ、かあさん、体を横へ移動させて』
「わかったわ、ビィー」
 体すれすれを砲撃が通過する。
「何んだ、いまのは。アリスめ、空間移動したな」
「いっただろう、さいつは尋常のアリスではない。化物だ。それも
クワノンに同化されたな」
「ミサイルを発射しろ」
「わかりました」砲手も恐怖で顔があおざめている。
 ミサイルは、ねらいたがわず、逃げるアリスの体に直進したよう
に腿えた。が反転してくる。
 「いかん、車から逃げだせ」
 「うわっ」
 ミサイルは装甲車に反転して直撃する。装甲車はバラバラに吹き
飛ぶ。マイケルは床に倒れている。
 「くそっ、何んて奴なんだ」
 アリスは、装甲車の様子をかいま腿て、走り出した。
 「いかん、地球連邦首相用の連絡艇乗場だ」

マイケルは何とか立ちあがった。
 マイケルが乗場のプラットフォームに辿りついた時には、3名の
乗組員と4名の警備隊がフロアに投げだされていて、アリスは首相
用の連絡艇に乗り込んでいる。

 コックビットの中の顔と、マイケルの視線があった。一瞬の事だ
った。

(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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