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SF小説「アイランド」山田企画事務所

SF小説「アイランド」山田企画事務所

■アイランド■第7回

アイランド■第7回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com
 
 ザ=タワーでは処理におおわらわだった。機動兵の隊長エリエッ
ト=クレア大将が、地球連邦首相室に呼びだされていた。
 首相室には、他に一人の男がいることに、クレア大将は気づいた。
「クレア、どういう管理体制をひいているのかね。君は、ここザU

タワーは地球最高の要塞だとは言わなかったかね。それが何んてざ
まなのだ。アリスファームは死体の山だ。おまけに、アリス全員を
クリーンニングしてしまった。当分、バイオノイドの戦士の増産が
できないではないか」
 クレアは首相の罵声の前に首をうなだれるしかなかった。
 「マイケル軍曹がいい所まで働いてくれたのですが」
 クレア大将は小さな声で言う。
 「が、失敗した事にはかわりはないだろう」
 首相の陰から、一人の男が言った。男は椅子から立ちあがり、リ
ゲル量産のタバコを吸い始めた。クレアはその男が誰か気がついた。
『レインツリー』の長官、シモンズだった。
「シモンズ君、それじゃ、君があのアリスを処分してくれるという
のかね」
 言葉の戦いである。
「もちろん、そうだ。すでに首相の承諾は得ているからね」

どういう事ですか、首相」クレアは首相にかみついた。
これからの処置は、シモンズ君が言った通りだ。すべてをレイン
ツリーにまかせる」
 クレアは顔を真っ赤にさせている。
「しかし、レインツリーは暗殺者組織ですよ」
 クレアには機動兵のプライドがある。
「だから、まかせたのだ」
 首相は冷たく言い放つ。
「その内、泣きを吃る事になりますよ」
「泣きを腿るのはそちらだろうが、クレア君」
 シモンズがさげすむ眼ざしで言った。
「失礼します」
 クレアは、顔を上気させながら、首相の部屋を出た。
 「クレア君、始末書を忘れるなよ」追討ちに部屋から首相の声がひ
びいてきた。
 「くそっ、何んて事だ。よりにもよって、レインツリーだと。首相
は何を考えているんだ」。
 クレアは機動兵長官室にもどると、副官のハインドを呼んだ。
 「いいか、ハインド、我々機動兵の名誉にかかわることだ…」
「そのいん星がどうしたと言うのだ」
「そのいん星は、地球を汚染させる」
「汚染させるだと、まさか、またクワノンのミサイルと言うわけで
はないだろうな」
 コロラドはボーンに念を押した。
「正確にはミサイルではない。ミサイル以上に悪い。」
「というと」
「そのニュータイプの飛行体は、スカイウォッチャーズと同化した
んだ」
一。同化した。どういう意味だ」
「普通のスカイウォッチャーズなら、石球と化すはずだ。がそのバ
イオノイドは、クワノンごと、地球の防衛圈を突破したのだ」
「そのバイオノイドがこのサンチェス島に落下したというのか」
「それなら、話は簡単だ」

 「バイオノイドではないのか」
 「バイオノイドの人工胎宮にいるんだ。つまりはバイオノイドHマ
 マの中に彼はいるんだ」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


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