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SF小説「アイランド」山田企画事務所

SF小説「アイランド」山田企画事務所

■アイランド■第10回

■アイランド■第10回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com
 
イノマイオノのお
 サンチェス島上空にある偵察衛星は、接近してくる衛星をキャッ
チし、SD‐Iシステムに警告しょうとした。その一瞬先、衛星か
らレザー光が反射され、偵察衛星は吹き飛んでいた。防衛上サンチ
ェス島の上空はガラ開きになってしまった。
 銃声が洞内に響き渡った。コロラドがボーンの体にむけて、数発
発射したのだ。がボーンは無傷だった。
 「なぜだ」コロラドは驚きの声をあげる。
 「無駄だな、コロラド。俺は完全なバリヤーをはりめぐらせている」
 「しかし、先刻のチェックでは、そんなものなど存在しなかった」
 「探知されない方法などいくらでもある。さあ、今度は俺の番だ」
 ボーンは指を洞窟の天井にむけた。轟音がした。三人とも頭をか
かえる。頭の上に空がみえていた。土くれがパラパラと上空からお
ちてきた」
「何だ、お前の力は」
「空からの力だ。とにかく、その二人ともなぜか力を出してはいな
いが、私も最高級の武器を使わないとな」
「キラー衛星ね」アリスがホーンに対して初めて口を開いた。
「御名答だ。それじゃ覚悟しな」
 コロラド連のいる場所が白熱した。
「コロラド、地獄で、お前の島民に会いな」
 が、逆にボーンの体が熱くなり、白熱する。
「こ、これはどうした事だ。うわっ」
 ボーンの体が蒸発した。同時に、サンチェス島にレーザー砲を発
射していたキラー衛星も爆発する。
「こ、これは’一
「僕がした事さ」
 始めて、ビィーが口を開いた。
 「ママの体から生まれ出て、地球上の空気に適応するのに時開かか
かったのさ。パパ、始めまして」
 アリス、つまりアリス3537は、昔、宇宙連邦軍、従軍ナース
だった。ポズナニ戦役の際、重装機兵だったコロラドは、アリスの
看護を受けた。
 コロラドは、お礼に、彼の皮膚を与えた。その皮膚が培養され、
バイオノイドの原料となった。
 アリス3537の子供は、いわばすべてコロラドの息子だった。
 つまり、ビィーもコロラドの子供である。それも、たった▽人生
き残っている息子である。たとえ、その息子がどんな姿をしていよ
うともだ。
 コロラドは、バレーボールくらいの大きさのビィーをだきあげた。
 「君はクワノンと同化しているのか。ビィー」
 「そうじゃない。僕は新人だ。クワノンでもなく、バイオノイドで
もないのさ」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
アイランド■第11回 [ 飛鳥京香の「アイランド」 ]
■アイランド■第11回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com
 
 ザ日タワーは、サンチェス島上空にあったキラー衛星の消失を確
認していた。
 首相室に今度は、シモンズが呼びだされた。
 「シモンズ君、君のあの大言壮語はどうしたのかね」
 「首相、申しわけありません。潜水艦の方からも連絡がないのです」
 「話によると、サンチェス島は、レインツリーの要員、コロラドの
顛地と聞いているが」
 「おっしゃる通りです。サンチェス島は、コロラドに、ポズナニ戦
役の、
 「その
論功行賞として、彼に与えられた戦士領地です」
、コロラドという男はどうしたのだ」
 「それも不明なのです」
 「シモンズ君、君の話はまったく要領を得ないね、ひきとりたまえ」
 シモンズは、首相室のドアから出る時、クレアとはちあわせた。
クレアはあわれむ様にシモンズを陪る。
「シモンズ君、また我々に光があたってきたがね」
「クレア君、まあせいぜい失敗しない事だね。あの生物を甘くみる
と失敗するぞ」
 シモンズは首相の前に立つと、挙手をした。
 「全機動兵団、出発準備完了いたしました」
 「シモンズ君、今度は、失敗はないだろうね」
 「もちろんです、首相」
 サンチェス島は、機動兵の飛行艇で被われていた。上空をゆきか
う飛行艇からは、機動兵が降下してゆく。

「機動兵だましいを日`せろ」
 副官ハインドが皆を元気づけていた。
「相手は、女、子供だ」
 七空から降下してくる機動兵の姿を腿ながら、コロラドは、また
過去を思い出す。
 あの時クワノンの生体ミサイルを自分の力で防ごうとした。自分
の力を過信していたのだ。その結果が、石くれの町なのだ。
 コロラドは今度こそ、最善をつくそうと思った。この時にベスト
をつくさないとした・ら、何のために生きてきたのかわからなくなる。
つまりは、私はこの時のために生まれてきたのだ。そうコロラドは
思った。
 アリスとビィーは新世界への種子となるのだろう。
 海は凪いでいて、雲の切れ間からの光が、まるで天国からの光の

に、彼女らを照らし出していた。聖家族の様だった。
 これからの戦いの幕あけにふさわしい。
 俺は敵の機動兵の前に立ちふさがろう。コロラドは考える。彼の
心臓は高なっていた。心臓のドクドクという音がコロラドの耳菜の
奥で響いていた。
 我々は滅ぶべき生物なのだろう。
 コロラドはビィーを抱きしめ、ほおずりをした。ビィーはキスを
かえした。コロラドはビィーの顔を少しも冷たくは感じなかった。
コロラドのほおをなま温いものがつたっている。
「我が子よ」コロラドは思わず叫んでいた。]
](続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
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