■アイランド■第11回■アイランド■第11回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com ザ日タワーは、サンチェス島上空にあったキラー衛星の消失を確 認していた。 首相室に今度は、シモンズが呼びだされた。 「シモンズ君、君のあの大言壮語はどうしたのかね」 「首相、申しわけありません。潜水艦の方からも連絡がないのです」 「話によると、サンチェス島は、レインツリーの要員、コロラドの 顛地と聞いているが」 「おっしゃる通りです。サンチェス島は、コロラドに、ポズナニ戦 役の、 「その 論功行賞として、彼に与えられた戦士領地です」 、コロラドという男はどうしたのだ」 「それも不明なのです」 「シモンズ君、君の話はまったく要領を得ないね、ひきとりたまえ」 シモンズは、首相室のドアから出る時、クレアとはちあわせた。 クレアはあわれむ様にシモンズを陪る。 「シモンズ君、また我々に光があたってきたがね」 「クレア君、まあせいぜい失敗しない事だね。あの生物を甘くみる と失敗するぞ」 シモンズは首相の前に立つと、挙手をした。 「全機動兵団、出発準備完了いたしました」 「シモンズ君、今度は、失敗はないだろうね」 「もちろんです、首相」 サンチェス島は、機動兵の飛行艇で被われていた。上空をゆきか う飛行艇からは、機動兵が降下してゆく。 l 「機動兵だましいを日`せろ」 副官ハインドが皆を元気づけていた。 「相手は、女、子供だ」 七空から降下してくる機動兵の姿を腿ながら、コロラドは、また 過去を思い出す。 あの時クワノンの生体ミサイルを自分の力で防ごうとした。自分 の力を過信していたのだ。その結果が、石くれの町なのだ。 コロラドは今度こそ、最善をつくそうと思った。この時にベスト をつくさないとした・ら、何のために生きてきたのかわからなくなる。 つまりは、私はこの時のために生まれてきたのだ。そうコロラドは 思った。 アリスとビィーは新世界への種子となるのだろう。 海は凪いでいて、雲の切れ間からの光が、まるで天国からの光の 様 に、彼女らを照らし出していた。聖家族の様だった。 これからの戦いの幕あけにふさわしい。 俺は敵の機動兵の前に立ちふさがろう。コロラドは考える。彼の 心臓は高なっていた。心臓のドクドクという音がコロラドの耳菜の 奥で響いていた。 我々は滅ぶべき生物なのだろう。 コロラドはビィーを抱きしめ、ほおずりをした。ビィーはキスを かえした。コロラドはビィーの顔を少しも冷たくは感じなかった。 コロラドのほおをなま温いものがつたっている。 「我が子よ」コロラドは思わず叫んでいた。] ](続く) 1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ |