線路はどこまでも
この3か月ほどは相当追い込んで文章を書いていた。公開する段階まで清書したものだけで7,8万字ほど、書いて消してを繰り返したものだと20万字はくだらないと思う。脳の隅の方までため込んだものを吐いていくように、リソースを遣っている期間だった。放出し続けることに飽食を感じてきて、入れるのか出すのかわからなくなってきている。そんな状況でなおここに何かを落としていくのは、他の場所とは異なる特別があるからなんだろう。何年も感じ続けてきたことだけれども、改めて確認してしまうことがある。高校生の頃にブラウザ上で遊べる音楽ゲームにはまっていた時期がある。その当時、ゲームセンターで遊ぶには金銭的な余裕がなく、田舎でゲームセンター自体が希少であったことから気軽にできるネット上に見つけたものだった。これがよくできていて、結構な期間一人で遊んでいた。受験にあたって縁が切れてしまったが、時々思い出しては大学生になってもお世話になっていた。つい先日も思い出して調べると、やはりサイトはしっかりと残っていた。http://bbr.eucaly.net/bbr3rd/なつかしい思いでプレイを試みるものの、なぜか遊ぶことができない。管理人のTwitterアカウントに辿り着くと、そこにはFlashのサポート終了に伴うサービス提供終了の告知がされていた。率直に、かなりのショックだった。ゲームの譜面や音楽を、何年もプレイしていなくともありありと覚えているのだ。それがもう体験することのできない失われたものなのだと知ると、自分の馴染みだった場所が破壊されたような気分にさせられた。だが、そんな悲しみの深さが私を諦めさせなかったのだろう。当時特に気に入っていた楽曲を見つけられないものかと必死に探していくと、ネットの海の中でようやく見つけることができた。夏をかける列車この楽曲の制作者のHPも貼っておこう。すだち(アコウスティックふうからテクノふうの曲まで手広くカバーするくふのオリジナル曲のサイト同人活動として、今も楽曲制作を続けているようだ。先ほどの『夏をかける列車』も2020年発売のアルバムに収録されていた。聴いた瞬間の感動といったら、表現のしようがなかった。聴き始めから体が自然と揺れて、生を感じられた。不思議な縁と言えるものかもわからないが、私がこの期間主に追われていたのは同人誌の制作に関わっていたからだった。血反吐を吐きそうになりながらも作品を作ろうとしていたのは、これが私が今生きるために必要なことだったからだと思う。何人の目に留まるかわからないし、もたらすものが良いことばかりでもない。だが、あるいは私があのゲームと音楽を思い出したように、作り上げた先にはいつか誰かの手元に帰ってくることがあるのかもしれない。そう信じながら制作の終盤を迎えている。また今日も、モニターを前にして日を跨いだ。とりあえず、この一仕事が終わったらあのCDを購入しようと思った。