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テーマ:最近観た映画。(40123)
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リンダ・リンダ・リンダを観てきた。
女子高生バンド映画ということで、昨年の「スウィングガールズ」と比較されることもあるようだが、中身はまったく違う。例えていうなら、遊具満載の遊園地と、近所の公園くらいの違いがある。 文化祭の準備と当日の数日間が、ドキュメンタリータッチで淡々と描かれる、ほとんど起伏らしい起伏のない映画。ラストのライブシーンで一応の盛り上がりはあるが、それもどこか距離を置いて眺めている感じ。 最初から最後まで、ありとあらゆる手を尽くして楽しませる要素を詰め込んだ、いわばジェットコースタームービーである「スウィング」とは、対極的な位置にある映画だ。正直、地味。 だが、決して退屈でつまらない映画ではない。充分に面白く観られる。面白さのポイントは「共感」にあるのではないだろうか。 「こういうことあるよな」「こういうヤツいるよな」という共感。それは映画の冒頭、文化祭前日の準備に追われる校内の描写から既に現れている。 廊下から見える各教室の中では、生徒達がそれぞれの出し物の最後の追い込みをかけている。その、今校内に充満しているであろう熱気がとてもリアルで、本当に文化祭直前の学校で撮影しているのではないだろうかと、瞬間錯覚をしてしまいそうだった。 出てくる人物やその言動、起こる出来事、どれもが日常的なリアリティに溢れていて、容易に共感できる。誰もが見かけたり、体験したりしていそうな出来事だから。 しかし決して過度な感情移入をさせることもなく、物語は淡々と進む。観客は傍観者であり観察者。距離を置きつつ、それでいて暖かく、彼女らを見守る。 そんな雰囲気を味わう、ドキュメンタリー映画だった。 さて、ドラマー的視点からドラム担当の山田響子こと前田亜紀を観てみる。 かなり速いテンポでも、きっちりと八分で叩いていた。それも笑顔で。その部分でまず感心。 自分だったらハーフオープンの四つ打ちにして、「疾走感を出すんだ」とか言ってごまかしてる。絶対。間違いない。 もともとプロフィールの特技にドラムと書いてるだけあって、それなりに叩ける人らしい。 スタジオ練習での休憩中、椅子に座ったまま背後の壁にもたれたり、バスの中でヒザを手で叩いて練習してたり、曲が終わるとシンバルを手でミュートしたり、それらの動作が実にドラマーらしく、単に演技だけではないものを感じさせた。 家ではベッドに積んだ雑誌とキックパッドで練習しているシーンがあったり、作り手側もその辺よく判ってるなと。この辺にドラマーとして共感。 今後もドラム叩く役を観てみたいなと、そんなことも思ってしまった。 ベースの白川望こと関根史織は、実は本職。 しかし「01年、Vo.Gtの小出祐介に、Bassを触ったこともないにも関わらずバンドに誘われ加入(パンフレットより抜粋)」して今に至るって、なんかマンガみたいだなこの人。ある意味映画よりも映画らしいかも。 泰然というか亡羊というか、なんだかとらえどころのない役回りだったが、いい雰囲気だった。 さて、この映画ではもう一つ、貴重な出会いを果たした。 今村萌こと、湯川潮音である。 マイク一本もってステージに出て、「え~、じゃちょっと歌います」と、アカペラで歌うシーンがあるのだが、これがとんでもない歌。 ものすごくスケールの広大な歌なのだ。小柄な身体のどこから声が出てるんだと思うほど、その歌は衝撃的だった。 これは絶対ただモンじゃねぇと確信し、調べてみたら、やはりただモンじゃなかった。 さっそくシングルを購入。近々アルバムも出るそうなので、そっちもチェックする予定。 ここ数日、頭の中ではリンダリンダがリピート中。まさに終わらない歌。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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