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2009.01.17
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http://ateliermusique.jp/
 
~MIDIブログラミングの奥深い魅力~   
 
では、MIDIのブログラムとはいったいどのようなものなのか?   
一般的に「打ち込み」と呼ばれるものがそれに当たる。 
そもそも演奏というものは、本来は人間の手で行うもの。 
それをコンピューターの自動演奏によって、
いかにも人間が演奏しているかのように聴かせるのが「打ち込み」の目的。  
 
映像に例えるならCGのようなものだ。
実写との違和感があるのと同じように、
打ち込みもまた人間の生演奏とはどこか異質なものを感じる。  
 
それもそのはず。 
実際のレコーディングは、人間の肉声や、
楽器やアンプから出てくる音をマイクで拾って録音するのだが、
そこには純粋な音色(ねいろ)だけが入っているのではない。 
 
演奏の過程で楽器本体やアンプなどから発生する様々なノイズや、
他のパートのかぶり音なども一緒に含まれている。 
マイクを通して録音されるのは、
プレイヤーの演奏とそれを取り囲む「空気」そのものなのだ。 
これが生演奏ならではの「臨場感」をかもし出している正体で、
それが有るのと無いのとでは大きな違いがある。  
 
ご想像のとおり、打ち込みのみによって作られた音楽には
この「空気感」が基本的には存在しない。 
「無味乾燥」と言われる所以はここにある。 
 
もう少し掘り下げてみよう。  
 
打ち込みに使用する音源は、
実際に演奏された音をサンプリングしたものではあるが、
微妙な音の強弱や減衰などのニュアンスは
単発のノートデータだけからでは得られない場合が多い。  
 
さらに、人間の演奏はできるだけ正確なテンポをキープし、
ジャストタイミングに近づけようとする。 
しかし、どんなテクニシャンであっても
メトロノームのようなリズムキープはできないし、
タイミングをビッタリとジャストに合わせることも不可能だ。
しかし、裏を返せばそこに人間らしい揺れと暖かみが
生まれて味が出てくるとも言える。  
 
一方、打ち込みでジャストに合わせる事はいとも簡単なのだが、
それでは「無味乾燥」にさらに拍車をかけてしまう。 
よりリアルなグルーヴ感を出そうとするならば、
可能な限りタイミングをジャストから遠ざけていく必要が出てくる。   
 
人間の演奏と打ち込みにはこのような違いがあるのだが、
生演奏が「本物」で、打ち込みが「模造品」というように考えるのは、
いささか短絡的ではないだろうか...  
 
生演奏に限りなく近づける事こそが、
打ち込みの究極であるというような消極的な認識は私にはない。   
 
両者は似て非なるもの。全く別物と考える。  
それは、両者には互いに相容れない優れた長所があるからだ。  
 
生演奏の素晴らしさは、部分的だがすでに述べた。  
では、打ち込みが生演奏に勝るところとは...  
 
生演奏の心地よい空気感を漂わせるノイズも、
不要な雑音と紙一重の関係にある。 
ミキシングの際にこれを極限まで取り除くのは、
なかなか骨の折れる作業だ。  
 
打ち込みのデータには雑音は皆無と言ってよい。 
空気感がないというデメリットとは裏腹に、
とてもクリアーな音作りがいとも簡単にできるというメリットがある。  
 
例えばドラムス。 
ドラムを生録音する場合、各パーツの音をピンポイントで狙った
ダイレクト音にも他のパーツのかぶり音が混ざっている。 
これはとても重要な要素なのだが、
ミキシングの段階でそれぞれのパーツに加工を施そうとする時には
邪魔になるのだ。  
できれば純粋なダイレクト音だけに編集をかけたい。  
 
それを可能にしたのが最近のバーチャルドラム音源。 
 
BFD2などに代表される近頃のハイテク音源は、
単に音質が優れているだけではなく、
実に様々なエディットが簡単にできてしまうという特筆すべき利点がある。  
各パーツのダイレクト音だけをパラアウトして、
コンプやEQなどで加工するといったものにも非常に便利だ。  
 
そして、オーバーヘッドなどから録った音を、
あとから微かに「かぶり音」として重ねることによって、
生演奏さながらの臨場感ある音作りが可能になる。   
 
その他、世界の名プレイヤーが逆立ちしてもできないような
難易度の高い演奏も、
打ち込みならいとも簡単にブログラムすることができる。  
 
究極は...  
 
実際にはあり得ない演奏表現だって、豊かな発想力をもってすれば
違和感なく感動的に聴かせることも可能になるということ...  
生演奏を模倣するだけに留めておく打ち込み音楽は、
MIDIブログラム、ひいてはDTM全体の可能性を
著しく小さなものにしてしまうだろう。   
 
最後に、これは聴く側ではなく、作り手にとってのメリットだが...  
人間の演奏なら、普通はひとつのパートを担当することで手一杯になる。
しかし、打ち込みならすべてのパートが自分の担当になる。 
差し詰め仮想マルチプレイヤーといったところ...  
 
そして、アンサンブルのみならず、作曲やアレンジ、ミキシングに至るまでの
総合的な音楽制作術を一手に統括できるという、
DTMならではの素晴らしい「創造の世界」に浸ることができる。  
 
もちろん、そんな中で聴く人に深い感銘を与える為には、
幅広い知識や優れた技術、
あるいは豊かな感性などが 不可欠になってくるが、
それだけに、そのやり甲斐もまた格別なのだ。  
 
同じ楽曲制作でも、
予め用意されたオーディオ素材を使うループミュージック等とは、
クリエイターに求めるられる力量の質も、奥の深さも比べものにはならない。   
 
MIDIブログラムの魅力はまだまだ尽きない...  
次回はそのマジックの世界を覗いてみたいと思う... 
 





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Last updated  2009.05.06 22:05:51
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