カテゴリ:ニセモノを斬る
それから… これも本当によく耳にするが、 「テンションンが上がる」、または「ハイテンション」といった表現。
まあ…「気分が高揚する」、「血気盛ん」、「やる気になる」、「興奮する」 というような意味あいで言っているのだろうが、 私はこの表現にも強い嫌悪感を抱く。
誰かが感覚的に言い始めて、 それがファッションのように独り歩きをして 今に至ったと推測するが、私には実に不快に響く。
語源を知らずして軽はずみに口走るのは、浅はかというもの… 「テンション」とは、「緊張」・「張り」・「不安」・「不安定」 などの意味を表す言葉。
音楽用語としても用いられる。 「テンション・ノート」=「緊張した音」 つまり、その音は不安定でとても張りつめた状態にあり、 安定した音に帰着しようとする性質を持つ。
あるいは、ギターの弦の張り具合にもこの言葉を引用する。 「テンションがきつい」というのは、弦の張りが強いということだ。 いずれの場合も、「緊張」という意味の本線から外れてはいない。
話を戻す。
「テンション」の本来の意味は、「緊張」である。 …緊張が上がってどうするんだ? 蚊取り線香の煙じゃあるまいし…
例えば、仮にこれが「エネルギー」というような意味だったら、 前後のつじつまが合って言いたいことに通じるが、 「緊張が上がる」なんて日本語はおかしい。 それでは「ファイト一発!リポビタンD」にならないじゃないか。
人間の精神状態でいうところの「緊張」とは、 オロオロして舞い上がるという意味ではない。 あくまでも、張りつめて引き締まった心理状態のことだ。 この点も、多くの日本人がその意味をはき違えている。
この不快な言葉… 今では辞書にも載っているが、 それは現代人から産まれた程度の低い造語だ。 そんなものを正式な言葉として記載する辞書もどうかと思う。 辞書たるもの、もっと厳格であってほしい。
とはいえ、言葉もいきもの… それは時代と共に変わっていくとしても、 もっと美しく進化していくべきだ。
これは私の主観と偏見によるもの。 異論があるなら、いつでもどうぞ。
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Last updated
2011.08.05 19:47:08
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