大富豪について
「日本一の大投資家が語る大貧民ゲームの勝ち抜け方」という、タイトルのながい本を読みました。この本は基本的に、竹田和平さんという日本一(?)の個人投資家の生涯、哲学等をつづった本です。J_Coffeeさんのサイトによれば、竹田さんは現在88億円ほどの株式を所有されているとのことです。日本一とするなら、多いような少ないようなですね。金持ちマインドの紹介本としてはまあ標準くらいですね。字が大きいのでスラスラ読めました。投資家としては、グレアム的な考えを持っている人みたいです。企業の将来には投資せず、現在のバランスシートに基づいて投資する、ということです。配当を重視する、ってところも(たぶん)グレアム的。自分の経験からこの投資法を編み出したのでしょうか。なら、すごいですね。ただ、自社株買いについては全くふれてないですし、この本を読む限りでは、やっぱり投資哲学としてはグレアムなり、バフェットなりのほうが数段先をいってるな、って感じがしました。で、この本のタイトルにある「大貧民ゲーム」なんですが。トランプの「大貧民」のことなんです。この筆者は「大貧民」が大好きらしく、竹田さんと何の関係もない大貧民のすばらしさを説明するのに、コラムと称して10ページを割いてます。この10ページがなければ、タイトルがあんなに長い必要もないんです。筆者によれば「大貧民」は「これぞ資本主義」らしいです。確かにあれすんごく面白いけどさ。本の本筋と関係ないものをむりやりねじふせてる筆者がなんかほほえましいです。本当に偶然なんですけど、この一月の間に自分は5、6年ぶりくらいにこのゲームを2回もやる機会があったんです。久しぶりに「やっぱ面白えなあ!」と思ってたところだったんで、楽しい気分になりました。ところで、うちの地方では「大貧民」じゃなくて「大富豪」とこのトランプゲームのことをよんでいます。「大富豪」って呼んだほうが縁起もいいですし、前向きじゃないですか。ルールも地方で微妙に違うみたいですね。たとえば革命。うちの地方では、4種同じ数のカードをいっぺんにだすことを革命といいます。価値が逆転します。2が最強だったのが最弱に、3が最弱だったのが最強にかわるわけです。この本のルールではこれがないのです!これなくして大富豪といえようか!って大貧民なんやけど。このゲームは勝つものはとことん強く、弱きものはとことん弱くなる性質があります。大富豪は連勝できるがゆえに、革命をおこして価値を逆転させて大貧民を救うというモラルが問われます。勝つ以上のことが求められてくるわけです(少なくとも自分がするときはそう)。自分の勝ちだけにこだわる輩があらわれたり、革命がおこってもどんづまりの奴がいたり。本当に大富豪は面白いです。