■論文の問題(1)■
少し、ブログを休んでいたときに、やっていたことのひとつに、論文問題の作成というのがある。自分で言うのもなんですが、読み物としても、おもしろいと思うので、その中の、いくつかを紹介したいと思う。結局、紹介する問題は、どこにも使われてはいなく、このまま、廃棄してしまうものでした。(問題)文章を読んで問いに答えよ。朝日新聞(8月8日付け朝刊)の記事「1000ユーロ世代」(1ユーロ=150円なら15万円世代)で、イタリアの若者の苦境を解説している。 「イタリアの20~30代で、高学歴でやりがいのある仕事に就いているにもかかわらず月15万円相当以下の低賃金に甘んじる労働者が増えている」そして、ローマの経済・社会研究所の世論調査によると、25~40歳で月給1000ユーロ以下の労働者が65%で、90年代初めからの景気低迷で企業の終身雇用契約を避けて短期雇用に切り替え始めたのが大きいとしている。また、03年の労働法の改正で契約解除がし易い派遣労働が認められ、この記事で言う1000ユーロ世代の傾向に拍車がかかった。 イタリアでの就職のし辛さは「コネ採用」が追い討ちをかけ、不満を募らせる若者の中には自国に見切りを付け、3人に1人が他の欧州で就職希望をしている。 「18~30歳の約8割が『経済的に独立が困難』として親と同居。低収入が人材の流出や晩婚化、少子化にもつながっている」と日本と多い共通点を示している。 山田昌弘教授(東京学芸大)は、日本もイタリアも根強い家族主義があり、低所得者の若者が親に頼る傾向がある。フランスなら激しいデモが当たり前になるが、日本とイタリアは社会に対する不満が高まらない傾向がここにあると指摘し、橋本俊詔教授(京都大)は、低所得の子孫への連鎖(注)が固定化することを警告している。(問1)この文章を読んで、あなたの考える日本の家族主義と、これからの社会保障を関連づけて述べよ。(400字以内)