売れた本を読む《モンキー・ハウスへようこそ》
売れた本を読みました。ラクマの出品キャンペーンで出品したものです。【中古】 モンキー・ハウスへようこそ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)売れたのは1です。楽天では中古のみの取り扱いで1は画像がないため参考程度に。1は題名の背景がピンク、作者の背景が黄色、サルの背景がオレンジです。まえがきからして面白いので期待して読むと、いきなり1話目でつまづきました(^_^;)〈わが村〉百科事典のセールスマンがバーンスタブル村のスタージス図書館を訪れるところから始まります。アメリカ最古の図書館だそうで…となるとWikipediaで確かめなければいけません。牧師のために建設され、礼拝施設もあったので宗教的な儀式が定期的に行われていたアメリカで現存する最古の建造物です。…事実を交えるといろいろ気になるので進みません…マグロが食用になるとわかるまで廃棄していた、イガイ(イ…貝偏に台)を食べても即死しないと気づく… スズキやハマグリがわんさかいる…イガイは日本沿岸の在来種で、朝鮮半島や中国北部に分布、とのことなので(Wikipedia)この貝はイガイではないのでは?ムラサキイガイに外見が似ている、のならムラサキイガイ(ムール貝)のことかも…こういう翻訳の誤解がありそうなので『老人と海』を読むときも半信半疑でした(^_^;)〈ハリスン・バージロン〉2081年、人びとはとうとう平等になった。と始まります。執筆は1961年、120年後のこと。しかし今は2024年なのであと55年とちょっと…SFを書くときはもう少し幅をもたせたいですよね。ドラえもんとか。技術が追いつくのか…?平等のためにハンディキャップを背負わされると芸術はつまらないものになってしまうのですね。思考を妨げられると、息子が射殺されても「何か悲しいことがあった」としか思えないのがとても怖いです。〈こんどはだれに?〉役になりきるが私生活は地味なハリーが、演技初心者で恋愛もしたことのないヘリーンに想いを寄せられ、まんまと乗せられて結婚。笑役になりきるのはガラスの仮面を思い出しますね。相手を演技させるのはスキップ・ビートの敦賀さん。〈モンキー・ハウスへようこそ〉またバーンスタブルが舞台。今度は郡。世界の人口は170億… 今より100億人多いのか…執筆当時の1968年は35.4億だそうです。約5倍。人口過剰を食い止めるため道義自殺の推奨、強制的な道義避妊が行われています。いちごブロンドの女性ナンシーが登場。よくラノベに出てくるピンクブランドの先駆け…?道義自殺を手伝うホステスです。背は高く心理学、看護学を修め、空手と柔道の達人。一日に三度義務付けられているピルを服用しない「無用人間(ナシングヘッド)」であるビリーは性の解放を訴えてホステスをさらい襲います。性に目覚めたホステスを仲間とし活動を広げます。内容は悲惨ではあるものの考えさせられる面も。これを表題にしてしまったのか感。〈永遠への長い道〉長いこと仲の良い幼馴染だった男女が女性の結婚話をきっかけに想いを伝え合う話。両片想いってやつですね。物語の中ならジレジレしてもいいのですが実際にあったら困るやつ。男の方は軍を脱走している状態(無断外出ではありますが故郷まで2日経過)女の方は破談になることを考えると…これまでの関係を壊したくないからと手をこまねいている間に、新たな人物が登場し相手を奪われてしまう展開はよくあります。片恋の場合はそれで終われますが両片想いだった場合は結ばれても結ばれなくてもあちこちに禍根を残しそうですね。〈フォスター家の財産目録〉投資カウンセリング会社の渉外役の主人公が依頼されて訪れたフォスター家。フォスター氏の年収は6,000ドルくらいか…と書かれるとドル円を調べたくなります。執筆当時の1951年はあの、1ドル360円の頃。つまり年収は216万円。物価指数は今の1/4〜1/5らしいので864〜1,080万円といったところでしょうか。家具は総計200ドルくらい→72,000円くらい→28.8〜36万円くらい。これでは自分の取り分は大して見込めないと「いささかいらいら」する主人公。投資額の0.1〜0.2%が報酬のようです。驚いたのが、1ドルが360円(1949年〜)の前は1945年は15円、1947年は50円とかだったこと。急速なインフレによるそうです。主人公との会話からどうにか妻を排除したいフォスター氏が、こっそり取り出したのは祖父の遺産を相続したという有価証券リスト。その額に主人公は手のひらを返します。相続時より上がっていて75万ドルくらいか、と思っていた評価額は会社に戻り分析させると85万ドル近くもありました。(85万✕360✕4=12億2400万)しかし「いいようにしてくれ」と言うだけで投資の目的が特にあるわけでもなく得られた収入で生活を改善するわけでもない。週に三度夜にバイトする必要はないのに…とバイト先を調べ偶然の出会いを装おうとしてフォスター氏の本当の姿を知ります。12億もの株を相続した時の相続税って…いや弁護士がちゃんと入っているので相続税を払った上での残額なのでしょう。弁護士費用も相当高そうです。12億あっても生活を変えない信念がすごいです。私だったら… フリマアプリに出品中のものをだいぶ値下げしてとりあえず売り切りたいです。(それでも捨てられないのはゴミになる罪悪感から)〈誘惑嬢〉魅力的な女性が魅力的なふるまいをするのは罪か。…そんなことはありません。ただ周囲には思いがけない行動をする男がいるかもしれない、というリスクを理解しておいた方がいいかも、というだけで。〈王様の馬がみんな…〉インドに赴任するために乗っていた飛行機が不時着したのは共産ゲリラの支配する地域で、乗組員と家族を生きる駒にしたチェスを強いられたケリー大佐が策を巡らし勝つ話。チェスがわかれば、盤面の説明があればもっと面白いのでしょうね…軽い気持ちで手に取ったのに重い話がチラホラあって負担が強いです。(とられた駒は射殺されてしまうので)〈ほら話、トム・エジソン〉人に煙たがられようと構わず自慢話をするバラードにつかまってしまった老人が、エジソンとの関わりと自分の生き方を話す。…老人はかの発明王「トーマス・エジソン」とは言っていないのですが、バラードが誤解。エジソンとフィラメントと聞けばそっちだと思うのもしかたありません(^_^;)知能分析機によってその能力を暴かれた犬が人間の言葉をしゃべったのちに他の犬に引き裂かれるのは、犬の地位を脅かしたからなのでしょう。〈新しい辞書〉いきなりヘミングウェイの名前が出てきて驚きました。昨日『老人と海』を読んだばかりなので。ヴェルナー・フォン・ブラウン…ロケット技術開発初期の最重要指導者。国家反逆罪でゲシュタポに逮捕されるもヒトラーのとりなしで釈放される。戦後ドイツからアメリカに移住。ドイツ時代はミサイル開発、アメリカ時代は宇宙開発に貢献。サルファチアゾール…この名前で調べてもよくわからず。スルファチアゾールと一緒?AIによると合成抗菌剤。サルファ剤。微生物の葉酸生合成を阻害。細菌、真菌、原虫に対し抗菌作用。『やぎ少年ジャイルズ』ジョン・バース…やぎとして育った少年ジャイルズの話。ブラックコメディのようです。like をas のように使う…方言、誤用、商業広告で用いられる→時代と共に変わっていったのでしょうか。ラルフ・エリソン…アメリカの小説家。『見えない人間』ノーマン・メイラー…アメリカのノンフィクション作家。ウィリアム・スタイロン…アメリカの小説家、随筆家。ジェームズ・ジョーンズ…アメリカの小説家。『地上より永遠に』エドワード・ルイス・ワラント…アメリカの小説家。(予測変換で出ず)アルジャー・ヒス…アメリカの弁護士、政府高官。ソ連のスパイ。辞書に載る/載らないの基準は難しいですね。知らないことばかり出てくると進みません。〈となりの部屋〉隣との壁の薄い家に住む少年ポールは両親が映画に出かけている間留守番していると隣家から男女の言い争う声とそれを誤魔化すためのラジオの騒音を最初は迷惑に思い、次第に心配になってラジオ局に電話し、「夫から妻へ」愛のメッセージとリクエストを依頼しますがそこにいたのは妻でなく愛人で銃声ののち飛び出してきた大柄な女性に事態を黙っているよう脅され彼女のハンドバッグにあった小銭やらゴミやらを渡されて、ベッドに戻り泣きじゃくります。銃声を聞いたという近所の通報から警官がやってきて問われますがポールは答えず。隣家の妻がタクシーから降りてきて夫と和解。ポールはベッドに崩れ落ち、寝てしまいます。ポールは服を着たままだったので帰宅した両親が脱がしてあげようとするとポケットの中にあったものを見つけます。口紅つきのティッシュからは刺激的な香水の香り。何かと問う父に母は「タブーよ」と答えます。ラジオを通じて仲直りのはずが殺人事件に!というのはハラハラしたものの、結局隣家の夫は生きているのでよくわからずネットで検索してみましたが特に見当たらず。死んだのは愛人で、隣人へのアリバイ工作に隣家の夫が女装したのではないかと。そして急いで散らかしたり死体を隠したり?あーでも読んだままのとおりで大柄の女性が愛人、銃は撃ったものの当たらず隣家の夫も愛人もケガをしなかった可能性も…警官は隣家には聞き込みにいかなかったのかな。「タブーよ」と言うのが息子の冒険(留守番)に対する秘密とかそういう意味かと思いましたがこの頃に「タブー」という香水が販売されていて2つの意味をかけていたのでは、というレビューが。そういうのは旬を過ぎてしまうとわかりませんね…今「香水」と聞けば「ドルチェ&ガッバーナ」とふっと思い浮かぶとしても(瑛太さんの曲)これが50年100年経てば絶対わからないし別の香水か話題になることもありそうだしそもそも国を超えていればなんのこっちゃ。笑子供を一人で留守番させるのが虐待になる国は危険が身近にあるということに気づかされます。大人がいても銃相手では厳しい気もしますが。〈夢の家〉新居を訪ねてきたジョージとグレイスの夫婦。グレイスは家のあちこちを見て回っては「◯◯の雑誌にあった□□を△△にして…」と言ってくるのを、最初はアドバイスとして真摯に受け止めていた主人公の妻でしたがそれなら完璧に整えられた家に住んでいるのかと思っていた彼らの住まいはてんで違っていて、ひたすら妄想を重ねていただけでした。妻は奉仕と思ってグレイスの話に付き合い、主人公とジョージはそれ以外の話で親交を深めます。あるとき、グレイスが2ヶ月入院している間にジョージが親類の遺産を相続、これを期にグレイスの理想の家を整えようと主人公夫婦とジョージがあれこれ手を尽くします。グレイスは喜んではいますが「実現してしまうと何週間かすれば色褪せる」。サプライズが失敗するやつ… と予測しながら読みましたが、合っているようないないような。理想の家具やインテリアはただあればいいのではなくそれを手に入れたり配置したりする楽しみもありそうなので、サプライズにせずに一緒に整えさせてあげてもよかったのでは。もしかしたら「考えるのが楽しいだけで実現させようとは思っていなかった」可能性も。そして完璧に整えてしまったら、今後グレイスはどう時間を使えばいいかわからなくなりそう。短編だから気軽に読めると後回しにしたら全然でした…(2回目) 失敗しました。筆者は小説は独学だそうです。すごい。タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫) [ カート・ヴォネガット ]カート・ヴォネガット・ジュニアで検索するといろいろ作品名が出てきます。また機会があれば読みたいです。この本は夫に「面白いから読んで」と相当前に渡されて読んでいなかったのですが昨日出張から帰宅した夫が「読んだことないな」と言っていてどちらの記憶が間違っているのやら…(^_^;)✢ ✢ ✢