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カテゴリ:近況
蟹座~獅子座の月の日 満月期
タイトルを見て、なんのことか分かりましたでしょうか?^^ そう、もうかなり古い映画になってしまいますが、ショーン・コネリーとクリスチャン・スレイターが主演で、ジャン・ジャック・アノーが監督した、ウンベルト・エコー原作の超難解な小説の映画です。 さすがフランス人監督が作っただけあって、リアルでありながら上品な出来上がりで、私の大好きな映画ベスト10に入ります。 昔見て感激したのですが、それから更にフランスやイタリア、スペインの修道院や寺院めぐりをした後の今、なぜか強烈にもう一度見たくなってビデオを借りてきました。DVDも出てるらしいんだけど、レンタルにもショップにも置いてない・・・(T T) すごーーーーく地味な映画なんだろうけれど、秀逸な映画なのに・・・ でも今回また見て、必ずDVDを買おう、と心に決めました。 舞台は中世の(といってもすでに教皇がアヴィニヨンに逃げていた時期くらい)北イタリアで、おそらくフランスとの国境あたりの山岳地帯あたりでしょうか。山上のベネディクト会の修道院に、主人公であるフランチェスコ会の修道士ウィリアム・デ・バスカヴィルと見習い修道士メルクのアドソがやってきたところから始まります。 原作はとても読む気が起きないくらい文字数が多く、これでもかというくらい、哲学・博物学・記号学・象徴学・神学・悪魔学・錬金術などありとあらゆる知的要素がちりばめられたミステリーです。 その超、超、超、超難解な原作をここまでばっさりと、分かりやすく、かつ原作の雰囲気を失わずに映画化できたのは本当にすごいことではないのかな、と思います。 中世のさまざまな修道会やカトリック(教皇)との確執や異端審問の異常さ、狂信的な宗徒と教会の暗部をうまくさらっと客観的に描いています。 もちろん中世ですから、異端、魔女、そして黒魔術とお題は揃うわけですが、主人公のウィリアム・デ・バスカヴィルはアリストテレスを研究するギリシア哲学専門の超理知的な哲学者ですから、すべてを悪魔のせいにするという宗教の胡散臭さをばっさりと理論的に解明しようと奔走するのです・・・ アリストテレスとプラトンは西洋文化の大きな柱です。それがやはりカトリックの学問にも非常に大きな影響を及ぼしていたのがよく分かると思います。 ありとあらゆるところ、細部にまでいろいろな情報が満載なので、知識のある人ほど見ていて面白く、かつ奥が深い映画なのではないでしょうか。もちろん、あまりよく知らなくても十分、ミステリーとして面白いです。 最近、異様に修道士とか修道院関係のものが気になってしまうのです。昔からそうなのですが、きっとフランスあたりでどっかの修道士だった経験があるのではないかと(笑)思われます。 あとはやっぱり24日の聖母マリアと大天使のチャネリングをやると決めてから、キリスト系のエネルギーが強くなってきているのを感じます。 この間の満月のワークのときに、Tちゃんからも指摘されたのですが、ミスティックのエネルギーが自分を取り巻いてきてます。これも不思議なことです。 満月のワークはシャーマニックにやりましたが、その直後にこの映画を見るのもなんだかタイミングがよすぎるというか・・・本当は今週の初めに見ようと思っていたものですが、なんだかんだと見る気にならず、今日になってしまったのでした。 この映画を見ながら、ヨーロッパでの経験が怒涛のように押し寄せてきました。 フランスで美術史を学んでいたとき、中世美術の街で嫌というほどロマネスク・ゴシック建築&美術&マリア信仰についての哲学・図像学をやらされて、頭がパンクしそうだったとか・・・ 普段からそういうものを見慣れていて、遺伝子や生活の一部になっている人たちにはかなうわけありません。 でもあのときからずっと今日まで、継続して中世の教会や寺院を回り続け、美術品や建築を見続けているおかげで、映画の中の事物がいきいきと自分の中に入ってくるのです。去年、イタリアとスペインをまわったことでも、いっそうクリアになりました。映画の中のイタリア語もフランス語も英語も理解できました。最初にこの映画を見たときは、イタリア語はそんなにできなかったわけですから、時間がたったのを感じます。。。 異端の謎解きになぜフランチェスコ会が絡んだのか?これにも実は、当時の状況的な伏線があるのではないかと思います。 聖フランチェスコは清貧をもって知られていますが、実は鳥や花と会話のできるシャーマンでもあり、悪魔祓いもするのです。フランチェスコ会はどうも、伝統的に悪魔祓いを職務として行っているらしい。。。 もちろんほかの宗派でもやりますが、フランチェスコが悪魔を祓ったという題材は好んで多数、描かれています。 こういう背景があるかも、と思いながら映画を見ると、更に趣が深くなります。 ラストも秀逸です。もう、ほんとに品がいい!それに、人間にとってとても大切な秘密を教えてくれます。 結局どうなったのか?は、映画を見てのお楽しみなのでこれ以上は言いませんが、ひさびさに感動しました。 哲学とは美しいものです・・・^^ ショーン・コネリーもよかった。。。 クリスチャン・スレイターは・・・好きじゃないけど役には合ってたと思います。。。 ただ、中世ものなので決して後味がよいとは言いません。。。 スプラッタやおどろおどろしいものが嫌いな人にはおすすめしません。 そこがまたリアルなんです・・・ さすがフランス人監督。遺伝子に入ってるんですね。 そういえば、こういう中世の教会や修道院の建築を請け負ったギルドの石工たちが、後世フリーメイソンとなったのも面白いというよりも当然の流れなのでしょうね。 またこういう大人向けの映画ができるといいのになあ・・・ 超難解な原作にも挑戦してみようかな?と、勇敢にも(?)思い立った夜でした・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.12.19 23:36:07
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