ここのところ、
ノイコムの『レクイエム』のCDを聴いています。
「ノイコム?? 何か、新しいIT企業みたいな名前。
何か、奇抜なテクノ系の音楽??
」と思いきや、1778年、ザルツブルク生まれ。モーツァルトの後輩なんです。
1814年、ルイ16世の死を悼んで、各国の王侯貴族の列席で演奏されたというこの作品。残念ながら、オーケストラの譜面は失われてしまっているそうですが、厳粛で、高度に洗練されたすばらしい作品です。そのまま聴いていてもいいのですが、ここはこういったオーケストレーションになっていたのかなぁ、などと、勝手に想像しながら聴いても楽しいんです。楽譜が手に入るんだったら、オーケストラ用に編曲とかしちゃいたいくらいです。
どうして、そんなにノイコムにハマッちゃったかというと、きっかけは、マルゴワールのモーツァルトの『レクイエム』のCD
です。実は、先日行われた、
『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2006』で、
モーツァルトの『レクイエム』や、
ミヒャエル・ハイドンの『レクイエム』なんかを聴くための、予習用に買ったCDのうちの1枚なんです。これ、ノイコムが補筆し、最後に『リベラ・メ』を付け加えた『1819年リオ・デ・ジャネイロ版』による演奏。世界初演のライブ録音なんだそうですョ。
ノイコムの『リベラ・メ』は、モーツァルトの作曲した部分を引用したり、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』っぽいテクスチャーなども見せることによって、それ以前の部分との調和を図ろうとした形跡も見えるほか、ノイコムが、ミヒャエル・ハイドンやモーツァルトと同じバックグラウンドを持った作曲家の1人であることを強く感じさせました。各方面では評判が悪いようですが、自分的には、この『リベラ・メ』自体単独のポテンシャルと完成度もなかなかのものと思いますよ。
モーツァルトの『レクイエム』は、繰り返し演奏されていて、我々の耳にも染み込んでいるので、一見、違和感がないように思えますが、生まれて初めてモーツァルトの『レクイエム』を聴いたとき、何とも表現しがたい異様な感触を感じはしなかったでしょうか? それは、この作品が未完成で、弟子による補筆がなされたという以外の部分にも由来しているように、自分には思えます。ノイコムの『リベラ・メ』は、当然、モーツァルトの作品と同一のキャラクターということは不可能としても、ノイコムなりに、そこへ近づこうとした、なかなかの力作と評価してあげたいと思います。仮に、ジュスマイヤーでなく、ノイコムが最初にモーツァルトの『レクイエム』の補作を担当していたら、また違った形のものができていたに違いないと思いました。
これまでの音楽の記事は
こちら
| | ノイコム:『レクイエム』
エディット・マティス(S)
イェルク・エーヴァルト・デーラー指揮
草津アカデミー合唱団
25CM555 |
|
| | モーツァルト:『レクイエム』
1819年リオ・デ・ジャネイロ版
(ノイコムの『リベラ・メ』付き)
ジャン・クロード・マルゴワール指揮
ラ・グランド・エキュリ・エ・
ラ・シャンブル・デュ・ロワ
K617180 |