
久々に掘り出し物のCD

を見つけました

ヴァンハルの『スターバト・マーテル(悲しみの聖母)』(ORFEO324941)です。しかも、演奏者がスゴイ。指揮がヴァーツラフ・ノイマンです

こんなCD、あったんですね~。
ヴァンハルは、チェコ出身の作曲家。1739年生まれなので、モーツァルトより17歳年上。ヨーゼフ・ハイドンより7歳年下です。実は、この3人、かなり仲良しだったとのこと。一説には、当時ウィーンで活躍していた作曲家、ディッタースドルフを加えた4人で弦楽四重奏曲を演奏したこともあるんだそうです。すごいカルテットですね。誰がどのパートを弾いたんでしょうか?? ヴァンハルは、サリエリとも仲良しだったらしく、サリエリをウィーンに連れてきたのもヴァンハルだったとのことです。さらに、意外なことに、ヴァンハルは、サリエリとともに、ベートーヴェンの師匠だったといわれています。
『スターバト・マーテル』というと、
ロッシーニ、
ドヴォルジャーク、
ヴェルディなども作曲していますが、まず頭に浮かぶのは、
ペルゴレージの作品です。ヴァンハルの作品はこれより50年近く後に書かれているんですが、ペルゴレージと同じヘ短調で開始するところや、ソプラノとメゾ・ソプラノのソロを用いているところなど、共通点も多いそうです。しかし、ペルゴレージはやはりバロックの響きですよね。ヴァンハルは、それとは一線を画す、ハイドンやモーツァルトの若い頃のような古典派の響きが感じられます。そして、ほの暗いヘ短調で開始する冒頭の合唱の美しさといったら

一瞬で音楽の中に引き込まれてしまいます。全曲は12の部分に分かれていますが、中には、いきいきとしたアリアや、華やかなコロラトゥーラ、合唱によるフーガなども盛り込まれ、非常に完成度の高い作品となっています。
ヴァンハルは、若い頃、交響曲作家としてセンセーションを起こしたといわれています。しかし、パトロンとの金銭的なトラブルなどがきっかけで、うつ病のような状態となり、世間から引きこもり、以後、宗教音楽を中心に作曲するようになったといわれています。この
『スターバト・マーテル』も、そのような経緯で作曲された宗教音楽の一つ。冒頭の部分などを聴くと、そんなヴァンハルの心境が伺われるような気がします。ヴァンハルはもともと、短調の作品を得意としていて、『シュトルム・ウント・ドラング』の代表的な作曲家ともいわれています。メランコリックな性格も大きく影響しているのかもしれませんね。実は、自分も少しだけ辛い思いをした期間があったので、今、とってもヴァンハルに親近感を覚えるんですよね。
このCDの余白には、やはりヴァーツラフ・ノイマンの指揮で、ヴァンハルのニ長調の交響曲が1曲収められています。この交響曲、第3楽章のアレグロの後、壮麗なメヌエットで全曲を閉じるという変わった構成。トランペットが華やかに活躍して、祝祭的なふんいきが感じられ、それでいて、ホッとさせるような自然さと素朴さを持った作品です。オペラでいえば、
グルックの作品のような存在感とテクスチャー。とてもいいですね。
 | | 巨匠、ヴァーツラフ・ノイマンは、若い頃からチェコ出身の作曲家を積極的に取り上げています。ヴァンハルの作品も、1970年代からチェコ・フィルを指揮して録音したりしているようです。この『スターバト・マーテル』と同じ時期に、やはりヴァンハルの『ミサ・ソレムニス』(ORFEO353951)も録音しています。こちらも、とってもいい演奏でしたよ。 |
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