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カテゴリ:家族のお話
赤ちゃんに与えられたはじめのタイムリミット、
生後3日が経過しました。 いくつかのサポートは受けていますが 特別大きな問題もなく、 保育器にも慣れたのか彼は手足を投げ出して眠るほどになってきました。 なーんだ。 800gで生まれても、問題なく大人になってるという情報もたくさんあるし、 何も心配することはないんじゃないか。 我が子は強運の持ち主だ! そんなことを思っていました。 🍀🍀🍀 赤ちゃんがNICUに行ってしまったので 他のお母さんと違ってそばに赤ちゃんがいない産後入院生活をおくっていました。 (うちの病院は基本母子同室) 他のお母さんは赤ちゃんが泣いたらオムツを変えたり、母乳をあげたりしている中、 私は3時間ごとに搾乳をして、NICUに冷凍保存をしてもらっていました。 NICUにも朝の2時間を除いて、 入院中の間ならいつでも面会できたので 夜中の搾乳ついでに暗ーい廊下を歩いていって、我が子の様子を見に行ったりもしてました。 看護師さんが気を使って 『他の赤ちゃんのいないお部屋にしましょうか?』 と言ってくれました。 が、断りました。 本当に不思議なのですが、赤ちゃんのなき声を聞くとほっとしてたんです。 新生児ならではのあの可愛らしい声! もう癒しのひととき。 その声をきいて我が子がそばにいる。 そんな風に感じていてほっとしたのかもしれません。 ⏰⏰⏰ 赤ちゃんが生後4日目に入ったばかりの真夜中。 私は部屋で搾乳をしていました。 すると夜中に珍しく看護師さんが訪ねてきました。 『搾乳は順調ですかー?』 調度産後初期特有のおっぱいの張りとの闘いがまだ終わっていなかったので、 そのことを聞きにきてくれたのかなー?と思って応答していました。 搾乳を終えると、看護師さんがひと呼吸おいて言いました。 『じゃあ片付けが終わったら、NICUから連絡があったから、ちょっと一緒にいきましょうか』 え……? なに…………? 看護師さんが言うには急ぎではないけど伝えておくべきことがあるという。 時刻は夜中の1時半。 緊急ではないにしても、今後の成長に影響する重大な何かがあったに違いない。 気が動転しすぎて言葉も出ない。 ただ長くて暗い廊下を看護師さんと歩いていきました。 👶👶👶 我が子に会う間もなく、小さい会議室のような場所に通されました。 中にはNICUの医師1名、NICUの看護師が1名が座っていました。 私が着席すると、用紙をいくつか出して説明をはじめました。 『午後10時頃、脳のエコー検査をしたところ、 お子さんの脳室内に出血が生じていることがわかりました。』 脳出血……? ……一瞬何を言われたのか理解できませんでした。 言葉が出ません。 医師からはこう説明がありました。 この脳室内の出血は我が子くらいの週数(24週で生まれた)で生まれた子にはよくある合併症であること。 我が子の場合、現段階では1~4段階あるところの1~2段階の出血レベルで軽度。 更に出血が広がる確率はこれから48時間以内が最も高く、慎重に見ていかなければならないこと。 この出血を直接的に止める手立てはないため、更なる広がりにつながらないように、しばらく麻酔を打って眠らせた状態にすること。 気づけば涙がポロポロと出ていました。 まったく止まりませんでした。 一通り医師からの説明が終わり、何か質問があるか問われましたが、 うなずくだけで何も言えませんでした。 会議室を出て我が子のところに行きました。 少し前までおっさんみたいに手足を投げ出して過ごしていたのに、 丸まって大人しく麻酔で静かに眠る様子を見て更に悲しくなり泣きました。 どうしてこんなことに……!! ごめんね…………ごめんね………… ただ泣くだけの私に看護師さんは背中をさすりながら、黙って一緒にいてくれました。 😢😢😢 自分の部屋に戻る時、 今日は4人部屋で空室のところがあるから、そこでよかったら寝てくださいと 看護師さんが気をきかせてくれました。 まだ泣いていたい気分だったし、 他の赤ちゃんがいる部屋には入りづらいと思ってたので、少しほっとしました。 通された部屋は誰もいないので、ひときわしーんとしたように感じました。 彼女は小さいライトをつけるとこう言いました。 『今日は突然のことでびっくりさせてごめんね。 赤ちゃんのことは心配だけど、NICUの先生もしっかり見てくださるし、 お母さんの体調もまだ不安定だから今日は少しでも休みましょう。 ご家族には今から話す?』 「いえ…… 主人は夜勤ですし、家にいる家族も小さい子供もいて今は寝てると思うので……」 『そっかぁ。 じゃあ朝になってからかな。』 少しの沈黙のあと看護師さんはこう言いました。 『今とても辛いと思うけど……今回のようなことは赤ちゃんの成長の過程でこれからも何度かあると思います。 今回は脳だったけど、肺だったり目だったり、その時によって違うけれど……。 この週数で生まれてしまうと、その度に向き合って乗り越えていかなきゃならない。 本当に辛いと思います。 だから、辛いけど誰かにはちゃんと話してね。 私たち看護師も誰でもいいので、話をきくから! 不安だったり悲しいなと思ったら誰でもいいからつかまえて、ちゃんと話してね。 泣いてもいいから! 溜め込んではだめよ。』 看護師さんのご好意に涙した。 また自分が7ヶ月で赤ちゃんを産んだことについてこれから待ち受けている試練をまったく理解できていなかったことに悔しくて、悲しくて、更に涙しました。 そうだよね。 800gで産まれたんだもの。 呼吸器もつけて、血圧もコントロールしてもらって、栄養を取り入れる管もつけてもらって…… それで今、命をつないでいるんだもの。 何もないはずかない。 私、全然覚悟ができてなかったな……。 これからも乗り越えなくちゃいけない試練……。 今こんなにも悲しいのに、これから先また別のことを乗り越えられるのかな……? 乗り越えられる気がしないよ…………! 看護師さんが出ていき、誰もいないしーんとした4人部屋。 1人しくしくと泣きました。 …………つづく🐤 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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