不格好経営/南場智子
不格好経営不格好...著者:南場智子価格:1,728円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見るはじめに□ とんでもない苦境のほど、素晴らしい立ち直り方を魅せる格好のステージだと思って張り切ることにしている。そしてもうひとつは、必ず跡から振り返って、あれがあってよかったね、と言える大きなプラスアルファの拾い物をしようと考える。第1章 立ち上げ□ 調整ではなく決めるのが仕事であること。最後は自分の腹に聞くことを教わった気がする。□ パニック 1)諦めるな。その予算規模なら天才が3人いたら1か月でできる。 2)関係者、特にこれから出資しようとしている人たちに、ありのままの事実を速やかに伝えること。決して過小に伝えるな。 3)「システム詐欺」という言葉をやめろ。社長が最大の責任者、加害者だ。なのにあたかも被害者のような言い方をしたって誰も思い切ったついてこないぞ。□ 同じ目標に向かって全力を尽くし、達成したときのこの喜びと高揚感をDeNAの経営中枢に捉えよう。第2章 生い立ち□ はじめからデキるスーパースターばかりに頼るのではなく、人の力を信じて引き出せる会社にしていきたいと思う。第3章 金策□ 間違ってもお金のことで公私混同しないこと□ 「南場さんね、買ってもらえなかったときにどれだけいい笑顔が見せられるかが勝負なんだよ」□ 営業MVPも、実際に加えチームへの貢献を考慮して選出した□ 普通に物事がまわる会社、普通にサービスや商品を提供し続けられる会社というのが、いかに普通でない努力をしているのか。□ 赤字経営はきつい。利益は世の中にどれだけの価値を生み出したかの通信簿であり赤字は資源を食いつぶしている状態だ第4章 モバイルシフト□ あるものは使う、持っている強みは活用するというのが新規事業戦略の王道だ□ タイミングにあったものを一番使いやすい形で出す。これを実現してナンバーワンになったものだけが、拡大の良環境を手にする。□ 決め手は何だったのか、と問われた春田は、「気合です」と答えている。□ 誰よりも働く、人を責めない、人格を認める、スター社員に嬉々とする、トラブルにも嬉々とする。そして、俺は聞いていない、バイパスするな、などという言葉も概念もいっさいない。とにかく一歩でも、ちょっとでも前に進むことしか考えていない。□ 真の競合は「ユーザーの嗜好のうつろいスピード」□ DeNA Quality ・デライト(Delight) 顧客のことを第一に考え、感謝の気持ちを持って顧客の期待を超える努力をする ・球の表面積(Surface of Sphere) 常に最後の砦として高いプロフェッショナル意識を持ち、DeNAを代表する気概と責任感を持って仕事をする。 ・全力コミット(Be the best I can be) 2ランクアップの目線で、組織と個人の成長のため全力を尽くす ・透明性(Transparency & Honesty) チームワークとコミュニケーションを大切にし、仲間への責任を果たす ・ 発言責任(Speak Up) 階層にこだわらず、のびのびしっかりと自分の考えを示す第5章 ソーシャルゲーム□ 自分は良いリーダーになれず苦しんでいる、助けてくれ□ 誰よりも働く、教えるより見せる、上から目線でなく、自分をさらけ出して一緒に戦うスタイルだ□ 陰湿さや会社に上下をつけるような態度がない□ 広告主としてなって下さった日本コカ・コーラさんやサントリーさんなどにも何かあるたびに頭が下がるような対応をしていただき、社格とはこういうことなのかな、と感じ入る。□ 会社にはよいときもあれば苦しいときもある。自分がどのような状況であれ、他者に偽りのない尊敬と感謝の気持ちを持ち続け、その気持ちに基づいて行動する会社こそが真の一流企業だ。第6章 退任□ チャームという要素があるのとないのとでは、人はつかむものが大きく違ってくるのではないだろうか。□ ある球団のオーナーさんが、プロ野球というひとつの劇場をほかの球団と一緒に盛り上げていく心構えを持ってほしいと言ってくださった□ 私たち日本人は自分ことは自分でやりなさい、人に迷惑かけないようにしなさい、と言われて育つ。でもそんなことは全部かなぐり捨てて生きることに固執し、悪あがきをし、いろんな人に支えられて踏ん張った夫のこの2年間は、迷惑をかけない生き方よりも人間としてはるかにしっくりくるように感じることがある。第7章 人と組織□ 意思決定については、緊急でない事案を含め、「継続討議」にしない□ 外部との折衝や関係づくり 1)幅広い情報を持つベンチャーキャピタルやジャーナリストとの定期的な接触 2)自社の事業に関係のありそうな企業の訪問と交渉 3)自社の事業に直接関係のない「イキのいいスタートアップ」の訪問□ 社員と直接接点を持つことを心掛けた□ 完璧にできないからといって諦めてしまうのではなく、「できる限りやる」と割り切った。□ 人材を最高レベルに保つためには、 1)最高の人材を採用し 2)その人材が育ち、実力をつけ 3)実力のある人材が埋もれずにステージに乗って輝き 4)だから辞めない□ 迷いのないチームは迷いのあるチームよりも突破力がはるかに強い□ 不完全な情報に基づく迅速な意思決定が、充実した情報に基づくゆっくりとした意思決定に数段勝ることを身をもって学んだ□ 選んだ選択を正しくする□ 全力で口説く、というのは、事業への熱い思いや会社への誇り、それから、その人力がどれだけ必要かを熱心にストレートに伝えるということにほかならない□ なぜ育つか、というと、これまで単純な話で恐縮だが、任せる、という一言につきる□ その人物か精一杯頑張ってできるかできないか、ギリギリの仕事を思い切って任せる。万が一できなければチームが寄ってたかって助ける。まれにそれでもカバーないしきれず、穴があくことこともある。そのリスクはとろう、でも人が育たないリスクはとらない。□ 優秀な人の共通点 労を惜しまずコトにあたる。他人の助言には、オープンに耳を傾ける、しかし人におもねらずに、自分の仕事に対するオーナーシップと思考の独立性を自然に持ち合わせている□ 今日明日のあなたの仕事ぶり、仕事に向かう姿勢こそが人脈を引き寄せるのだと伝えたい。□ 管理職かメンバーのひとりかというのは、上下関係ではなく役割の違いだ□ 退職が決まると申し訳なさそうにする社員が多い。悪いなどと思わず、堂々と出発して欲しい。自分が今日のDeNAをつくったという誇りを勲章にしてほしい□ 組織に属さず、プロジェクト単位でゆるやかに繋がっていくいる元社員もいる。会社と個人の関係はそんなに固定的でなくてもいいのかなと思う。帰属より、信頼関係と仕事の質が大切だ。□ 男女にかかわらず、各人の置かれた状況やライフステージに応じて仕事が設計でき、何かが起こってもキャリアを諦める必要なんか全然ないんだよ、という会社にしていきたい。□ 任せる 1)全員が主役と感じ、ひとりひとりが仕事や成果にオーナーシップを感じるようなチームの組成、仕事の単位となっているか 2)チームの目標はわかりやすく、そして高揚するに足る十分に高い目標となっているか 3)チームに思い切った権限委譲をしているか。信じて任せているか第8章 これから□ 国内外にかかわらず、あと10年もすれば、組織に属して仕事をするスタイルは主流ではなくなるだろう。目的単位でプロジェクトチームが組成され、また解散するような仕事の仕方に変わっていくはずだ。□ 勝敗を決めるのはユーザーの審判以外の何ものでもない。