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しげぞーの他人には厳しく

しげぞーの他人には厳しく

短期決戦の勝者は駄目なのか 2003/7/12

短期決戦の勝者は真の勝者ではないとでもいうのか? 2003年7月12日(土)

 まさに老害である。
 我が儘で言いたい放題の巨人・渡辺恒雄オーナーがまたそのボケぶりを披露したのだ。問題の発言は11日に東京の帝国ホテルで行われたプロ野球オーナー会議で出た。
 新聞報道によると「プロ野球選手が品位を保とうとしているにもかかわらず、消費者金融の広告をヘルメット等に使用するとは何事か」と近鉄を批判し、将来巨人が優勝した場合、近鉄相手なら日本シリーズに出ないのだという。また2004年度から導入されるパリーグのプレイオフ方式(現行よりも5試合少ない135試合で勝率3位までをまず決め、その後2位と3位の対戦である第1ステージ、その勝者と勝率1位のチームによる第2ステージを経て優勝チームを決める)による優勝チームについて「3位になったチームが最後の何試合かで勝って日本シリーズに出てくるのか。違った質のチームとの日本シリーズなんてあほらしい。これだけセとパが違うのなら一緒には行動できない。」と来季パリーグの勝率2位3位チームが優勝した場合、巨人が日本シリーズをボイコットすることをほのめかしたというのである。

 まずは消費者金融の問題である。消費者金融のテレビCMについて日本民間放送連盟は4月の改編期にCMの改善を、10月の改編期で午後7時から9時までの時間帯においてはCMそのものを流さないようにするとの動きがあり、それを渡辺オーナーも強調しているようだが、すでに消費者金融は社会的に認知された存在でそれ自体に問題があるとは思えない。だいたい経営能力がなく、国から公的援助を受けている銀行と比べ、消費者金融は独自に利用者の返済能力を調査し、それによって貸し付けを行っており、企業としては銀行よりも遥かに有能なのである。お金の貸し借りを行っているため、悪いイメージを持たれがちだが、本質は銀行と何も変わらないのである。
 私自身は消費者金融からお金を借りたことがないため、その細かな仕組みなどはわからないが、法律の元、契約によって貸し付けを行っているのだから、問題とするのもどうだろうか。騙して貸すのならともかく、必要とする人がいて、それらの人が契約条件を理解の上、借りているのである。返済能力を超えて借りてしまって返済が行き詰まる人もなかにはいるようだが、それは消費者金融のせいとばかりも言えまい。大体似たような事は銀行でも起きているのである。
 渡辺氏は今季東京ドームから消費者金融の広告を撤去させた実績を誇示したようでもあるが、それは今季まで広告を掲示させていたことにほかならず、また自らがグループ社長を務める読売新聞では堂々と消費者金融の広告を載せているのである。今回の報道を聞き、慌てて読売新聞を確かめたら、野球欄にアイフル、武富士、アコムと3社の広告を大きく扱っていた。呆れるほかはない。スポーツ報知にしても消費者金融の広告を扱っている。こうなると健全な青少年は読売新聞やスポーツ報知を読まないとでも思っていると理解するしかない。

 次にプレイオフに関してだ。
 最後の何試合かに勝っただけで優勝とはふざけているとのことだが、こんな仕組みは至る所に存在している。最後の何試合に勝っただけで優勝というと、レギュラーシーズンの135試合は意味が無いかのように聞こえるが、実際にはレギュラーシーズンの成績によってプレイオフで有利にも不利にもなるのだ。つまりレギュラーシーズンの成績も重要なのである。
 今回パ・リーグがプレイオフ制度を導入することにしたのは、リーグの活性化を目的としているようだが、そもそも長期戦で力を発揮するチームもあれば、短期決戦を得意とするチームもあるはず。これまでならば短期決戦に活路を見いだすようなチームにはチャンスがなかったが、この制度の導入により、レギュラーシーズンでなんとか3位までに食らいついていけば、一発逆転が可能となったのである。こんな見方をすればプレイオフ制も悪くない。
 それに何試合か勝っただけでの優勝など意味がないというのなら、現在行われている日本シリーズとて同じ事である。それを否定せずにパリーグのプレイオフ制度だけを批判するのでは整合性を欠く。

 これまで見て見ぬふりをされてきた呆れるような渡辺氏の暴言だが、それは圧倒的な人気を誇ってきた巨人のオーナーであるからこそ黙認されてきたのだ。過去多くの事例が彼の主張通りになってきたのも、それは決して氏の発言が理路整然としているからではない。例えばそれは大相撲で内館牧子さんに一方的にやりこめられたことを見ても明らかなんである。
 権力が絶大でなければ、とっくの昔に失脚している人物であろうと思うが、こんな我が儘で言いたい放題の年寄りがいつまでも大きな影響力を保持している世界はろくなものではない。
 プロ野球の世界に今最も求められているのは、巨人一辺倒からの脱却なのである。そんな観点からしても、今季の阪神の独走と巨人の不調は好ましいことと言える。




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