アヤノブの部屋

2006/09/12(火)02:13

母乳栄養のママの食事は何に気をつければいいの?アヤノブの部屋

おやじの子育て(166)

母乳栄養のママの食事は何に気をつければいいの? さて、下の娘が産まれて早1ヶ月。夕飯は主にパパの仕事になっておりますが、授乳中の食事って何がいいのか? みなさんに以前多くのコメントいただきましたが、あれ以来、ずうっと調べつつ日々生活しておりましたが、母乳が良く出る食事とか、母乳栄養のためにこれ!という根拠の強い調査、研究などには行き着かず、結局わからない状況です。 ということは、 食事によって母乳中の栄養成分には影響するの? と素朴な疑問が出てまいりまして、その線で調べていくと、意外な結果が・・・(私にとってはですが) 小児保健研究に掲載された妊娠中及び授乳期の栄養状況が母乳成分へ及ぼす影響から 対象は,成熟児を出産し,母乳のみあるいは殆ど母乳で哺育している授乳婦44人(平均31.7歳)。 母乳中の蛋白質,脂肪,カルシウム濃度と妊娠中ならびに授乳中の体格要因,栄養蓄積,栄養摂取状況との関係を分析したもの。 栄養素摂取量の平均値は エネルギー 2072カロリー 蛋白質81g 脂質70g 炭水化物270g 脂質エネルギー比率は31.8% 脂肪濃度は 妊娠中の最大体重時のBMIと正,授乳時の脂質摂取量と負の有意な相関を認め,重回帰分析でも両者が独立して影響していた. カルシウム濃度は 授乳時の骨密度と有意の正相関が認められ,食事からの摂取量とは関係が見られず,蓄積されたカルシウムが母乳へ移行すると思われた. また,蛋白質濃度は飯,野菜の摂取量と有意の負相関が認められた (参考:米山京子:妊娠中及び授乳期の栄養状況が母乳成分へ及ぼす影響.小児保健研究(0037-4113)62巻3号 Page331-340(2003.05)) あれっ母乳中の脂肪濃度って、妊娠中の最大体重字のBMIが大きいと母乳中の脂肪濃度も増えるってことですよね。 また、授乳中の脂肪摂取が多いと母乳中の脂肪濃度が少ないとのこと。なんでこうなるのか良くわかりませんが、食事によって、脂肪摂取を減らすと母乳中の脂肪成分が増えるってことになりますね。これは、授乳によってもとの標準体重に戻そうというからだの働きとのこと。うまくできていますね。母乳ダイエットもここから来ているのかな。 ただし母乳中の必須脂肪酸は、食事由来のみとのことで極端な脂肪制限はダメで、魚由来のn-3系脂肪酸の摂取が推奨されています。 カルシウムは、食事による摂取で変化すると思ったら、ママの骨密度が高いと母乳中のカルシウム濃度は上がり、食事の影響はなし。 本当に母乳ってママの体を削って作っているんですね。なぜだか目の奥が軽くツーンときました。 さて、そうすると、授乳中の食事では、母乳中の各栄養素に影響が出ないように気をつけるというよりも、ママの体から母乳によって削られた成分を補うことが本来の目的と理解したほうがよさそうですね。 ※BMI(body mass index)は,体重kg÷(身長m×身長m)で表されます。身長167cm,体重65kgでは,65÷(1.67×1.67)=23.3となるわけです。 ※必須脂肪酸とは:脂肪酸は食品に含まれる脂質の主な成分であり、特に体内で作ることができない脂肪酸を必須脂肪酸という。リノール酸、α-リノレン酸や、n-3系脂肪酸(魚に多く含まれる)であるDHA(ドコサヘキサエン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)などがある。 母乳が減っちゃうものはあるの? タバコ:喫煙時の乳頭吸飲刺激に対する血中プロラクチン(乳汁を産生促進する)の変化の研究では、喫煙後のプロラクチン分泌は遅延、減少する。 (参考:Andersen AN,et al:Suppressed prolactin but normal neurophysin levels in cigarette smoking breast-feeding women.Clin Endocrinol (Oxf). 1982 Oct;17(4):363-8.) (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=7139967) では、授乳によってママの体から失われるものはなんでしょうか? 厚生労働省:妊婦・授乳婦における食事摂取基準(2005年版)とその策定背景から たんぱく質 授乳による損失分として母乳中のたんぱく質濃度と泌乳量の積を付加量とする。 水溶性ビタミン 授乳によって失われるビタミン量は母乳中の各ビタミン濃度と泌乳量から摂取基準値としている。 脂溶性ビタミン ビタミンA,E,Dは授乳による損失分として、母乳中の各ビタミン濃度と泌乳量の積が付加量付加量とする。 ビタミンKは授乳により不足は起こらない。 ミネラル マグネシウム、リン、マンガンは、授乳による不足は起こらない。 カルシウムは、授乳中の骨濃度減少をカルシウム摂取により阻止することはできないが、減少した骨カルシウムは、授乳終了後に回復する。 鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素は授乳による損失分として、母乳中濃度と泌乳量の積を付加量とする。 電解質 授乳によるナトリウムの損失分は通常の食事で十分補えるが、カリウムは授乳による損失分を付加する。 (参考:厚生労働省:妊婦・授乳婦における食事摂取基準(2005年版)とその策定背景) (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a6.pdf) さあ、何が授乳で失われるかはわかりましたがまだまだ実用的ではありません。 もっと実用的なものはないの? なんとなく経験的な食事で十分なのかしら? 授乳期の栄養摂取状況はどうなのか? 栄養学雑誌(http://www.jade.dti.ne.jp/~kaizen/zassi.htm)に発表された日本人の妊婦・授乳婦の食品及び栄養摂取に関する実態調査では、 全国に在住する妊婦・授乳婦293名を対象に,食事や栄養摂取の実態及び意識についてアンケート調査を実施したもの 1)ほとんどの食品ならびに栄養素の摂取量は,妊娠前期群よりも授乳期群の方が高かった.とくに,魚介類の摂取量は授乳期群で有意に高く,EPAやDHAなどのLCPUFAの摂取量が有意に高かった. 2)意識的に摂取しようと努めているカルシウム,鉄,及び食物繊維の摂取量は,対象者の85%以上が栄養所要量や目標摂取量を下回っていた. 3)その一方で,意識的に摂取を控えようと努めている食塩相当量,脂肪,及びエネルギー摂取量は,栄養所要量とほぼ同等であった (参考:中埜拓:日本人の妊婦・授乳婦の食品及び栄養摂取に関する実態調査.栄養学雑誌(0021-5147)62巻2号 Page103-110(2004.04)) ということで、摂りたい物はなかなか摂れず、控えたいものはなかなか減らせないということがわかります。 じゃあ、なにかいいものないかなあと探してみると 厚生労働省:妊産婦のための食事バランスガイドがありました。 (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf) ここには、授乳中項目もあって、食事でなにをどのくらい摂取したらいいかがわかりやすく、主食、主菜、副菜、乳製品、果物が一日これくらいとればバランスよい食事になりますよというものです。 実際、私はこれを縮小印刷して、定期券の裏側に見えるようにしておいて、毎日仕事帰りに夕食のおかずを選ぶときに利用しています。もちろん季節の野菜とか本日の目玉商品から選ぶようにしつけられております。 さて、実際に使ってみた感想は・・・・・ 品目が多いので、縮小版でも買い物しながら、すぐに確認できることは有効です。 肉料理が減ってバランスがいいのか、怒りっぽくなくなった?(ただ疲れているだけかも) 子どもと野菜の数と種類をクイズ形式にして話し合うので、子どもが食に対する関心が増えた。 などが挙げられますが、子どもの関心は、父親が食事に関心を持っているからかもしれませんね。 野菜が9種類くらい入っていると思わず「グッジョブ!」と心の中で親指立ててます。 ついてでにパパのダイエットにもいいみたいです。 お買い物バッグにそっと妊産婦食事バランスガイドを忍ばせてはいかがでしょうか? アヤノブのお勧めです。 ↑役に立ったり、面白かったらクリックしてね。byアヤノブ

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