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カテゴリ:日常
SF=サイエンスフィクション。
科学的空想と訳されます。 科学的技術や科学的見地の下地の上に空想的な小説を書く。 そういう分野を、文学的に分類した言葉です。 この分野は、荒唐無稽とは違います。 例えば、宇宙戦艦ヤマト。 この物語の大事なSF的下敷きは、ワープと波動エンジン。 ワープとは、星間航行の技術です。 空間軸と時間軸を歪ませて、亜空間上で実距離を短縮してしまう。 そのため、亜空間航行エンジンが必要となる技術です。 波動エンジンは、原子を構成する素粒子を燃料とするエンジン。 原子ではなく素粒子を使うことで、亜空間航行が可能ではないか? そういう可能性を仮説として構成されています。 ただ宇宙船が、戦艦大和なのは私は納得できない。 作者の「古いものが最新のテクノロジーで蘇るのが面白い。 最新の宇宙船が古い戦艦って面白い。 単に極秘兵器だった戦艦大和を宇宙に浮かべてみたい。」 そんな感情であんなふうになってしまった。 実際、宇宙戦艦ヤマトは妥当性と矛盾が並立しています。 空間を歪ませるものとして重力があります。 ブラックホールでは、重力のために通常の科学定理が適応できません。 光は直進しますが、重力はその特性すら捻じ曲げてしまいます。 ワープ航法というのは、人工的にブラックホールを作って空間を捻じ曲げているようなもの。 そう考えると、重力を操作出来なければなりません。 だから、船内が地上と同じように重力があるのは納得できます。 ただ、損傷部から煙がモクモクと上がっていたり、爆撃機が音を立てながら襲ってきたり・・・・ これはあり得ないのです。 ただし、ヤマトの世界観では人工重力は可能でもガンダムでは無理です。 ガンダムの世界では、ワープ航法は実現されておらず、したがって重力の制御もできていません。 「ミノフスキー粒子」なる魔法が出てきますが、現実的には矛盾だらけです。 ガンダムでのSF的な下敷きは、有視界戦闘。 宇宙空間での有視界戦闘を実現させるための方便が「ミノフスキー粒子」の本質です。 巨大な宇宙船が、地球上で浮き上がるのも「ミノフスキークラフト」・・・・・ こうなってくると、すべてはミノフスキー粒子で説明できる? これは荒唐無稽です。 もしも、ガンダムをSFにするのであれば、大気圏内の描写はすべてが間違っていることになります。 地上における物理法則を覆すことは基本的にできないからです。 便利な粒子で可能なことを増やそうとするとあらゆるところで矛盾が噴出する。 これが、宇宙空間だけならミノフスキー粒子は、まだ妥当性があるでしょう。 レーダー波を遮蔽できない宇宙空間で、ある種の粒子で乱反射させる。 これは、戦闘機がミサイルのレーダー波を惑わすチャフと原理的に似ています。 また宇宙空間であれば、一定の濃度から有効となるのも納得です。 ヤマトの後に作られたガンダム。 科学的な根拠が違い過ぎるこの2つの作品。 ガンダムの作成スタッフが「有線ミサイル」を作品内に登場させたことを誇っていたようです。 「ヤマトのような打ちっぱなしのミサイルじゃなく、現実的なミサイル。」 そう思っていたようです。 実際、射程1kmぐらいの対戦車有線ミサイルが普及され始めた時代でしたから・・・・ それから40年。 今や、有線式の対戦車ミサイルは姿を消しつつあります。 現在の主流は、反射レーザー誘導式。 目標にレーザー光線を当て、その反射をミサイルが拾ってそれを目標に飛んでいく。 測量レーザーの応用技術です。 SFにはこういった落とし穴もあるのです。 それがSFの宿命でもあるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.10.15 17:00:08
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