A to Z of SCI

2007/12/03(月)15:38

「キツイ、キタナイ、キケン」よりも

鉱業、工業、建設業の現場で肉体労働に携わる職種を3Kと呼ぶことがあります。「Kitsui(キツイ)、Kitanai(キタナイ)、Kiken(キケン)」の3Kです。転落の危険と隣り合わせの建設現場や細心の注意を払っていても落盤に巻き込まれてしまうこともある炭坑など 昔から多くのセキソンを出してきた職種です。 実は、頚部脊髄損傷の身で生きることもこの3Kなのです。 キツイ:自分の身体全体に重りをつけられたみたいです。車いすに30分も座っていると前屈の姿勢につぶされそうになります。ベッドで仰向けに寝ているだけなのに、ベッドにめり込む感じを受けることもあります。 キタナイ:洗面所に行けないので朝の洗顔は清拭です。どんなに清潔にしているつもりでもウロバッグがにおいます。 キケン:夏場にクーリングができなければ熱中症です。膀胱瘻から出ているチューブが折れたり詰まったりして排尿できなければ過反射です。どちらも、誰かに助けてもらえるまで苦しみ続けます。誰も助けてくれなければ、おそらく死ぬことでしょう。 一方、この3Kから逃れるためのリハビリで重要な視点が別の3K、「Kouka(効果)、Kouritsu(効率)、Keizoku(継続)」です。 効果: ニーエクステンションはスクワットの代わりになるか、なりません。麻痺部分を呼び覚ますためのリハビリと動き出した部位の筋力増強のためのリハビリも違います。 効率:酷使された筋肉が休息を与えられ超回復することで強くなります。上肢を休息させている間に下肢を鍛えることもできます。 継続:自分が日常置かれた環境のもとで続けられることです。最新の機材もない、訓練を受けた専門家もいない、そういう環境でやり続けなくてはなりません。だからこそ、通院OTや訪問PTの機会を無駄にできません。 自分にあったリハビリを見つけるために必要なものは「Kansatsu(観察)、Kiroku(記録)、Kousatsu(考察)」の自然科学的アプローチです。 心理的影響は小さくありませんから、「Kandou(感動)、Kiai(気合)、Konjou(根性)」と表現される心理的活動は尊重します。 しかし、この世の理から逃れられない限り、「Kaji(加持)、Kitou(祈祷)、Kiseki(奇跡)」の入り込む余地はありません。

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