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カテゴリ:思ひ出ぽろぽろ。
婚姻届を出した翌日、大きな花束が配達で届いた。
これほどデカイ花束をもらったのは、人生において初めてかもしれない。 驚いてみると、大学の劇団で同期の仲間だったH君からのものだった。 ここ1年以上は会ってないけれど、なかなか粋なことをしてくれる。 また、彼が他の人たちにも連絡をまわしてくれたおかげで、 ずっと音信不通になっていた大学時代の仲間たちから連日のように「おめでとう」のメールがくるようになり、 何年ぶりか・・・また連絡がとりあえるようになった。 筆不精の私を反省。そして彼にほんと感謝。 私にはけっこうステキな仲間がいたんだな、、、と、改めて思った。 「ほんまにおめでとう!お幸せに。劇団○○同期代表 H」 という花束に添えられた手書きのメッセージ。 ・・・そんな同期のH君というのは、軽口を叩き合う仲というか、 いつもお互いに演技のダメ出しをしたり、なにかとケチをつけあったりする仲だった。 私が芝居で宛がわれる役は、だいたいがギャグ系の役柄が多かったということもあって、 「あづみってほんまおもろいわ。あの顔バリ、フツー女じゃできへんと思うで。」「俺、あづみのことは女と思ってないから」 なんて台詞を彼はいつもズケズケいってくるし、そういわれた私は彼をよくバシバシ殴っていた。 まわりからは「よくじゃれあってるよね」、なんていわれていたっけか。 まぁそんなことがズケズケ言い合えるのも、彼は私と同じ地域の出身だったということもあり、 会話のテンポが合うということもあったのかもしれない。 メッセージを見てると、ふと、あの夜のことを鮮明に思い出した。 「幸せになりてぇーーー」と二人で叫んでたあの夜のこと。 あれは、おそらく2月くらいの時期だったんじゃないかな・・・と思う。 その日は、雪が大量に降った後で、路面は凍結していた。 車がなく原チャでバイト先まで通っていた私は、その帰り、 危ないからと、バイト先の店長に車で送ってもらい、 そして車中で告白され・・・。で、断って・・・。 べつに嫌いというわけではなかった。彼は当時、「今年で32才」と言ってたっけ・・・。 私は恋愛に年の差なんて関係ないと思っていたし、 どちらかというと年上の方がよかったというか、年上の人との方が話しが合うことが多かったんだけど、 ・・・それでも私は彼を恋愛対象としてみることはできなかった。波長も合わなかった。 店長の寂しそうな顔、、、気まずくなった私は、そのままお礼をいって車を降りて自分の部屋に帰って、 一人なんか泣きたくて。 人と人、男と女って難しいなぁと感じて。 私はその時誰とも付き合ってなかったけど、そして誰かがそばにいてほしいと思ってたけど・・・ そして店長は、いっしょに働いてきた1年程の月日を通して私を見ていてくれて、 純粋に好きと言ってくれていることにも気付いていたんだけれど。 ・・・なんだか断りにくいような情も感じていた。 ・・・でも違うんだ。どうしても。 そうして私は人を傷つけてそして傷ついて・・・ あぁどうしてうまくいかないんだろう、と。人間って哀しいな、、、と。 まぁその店長とはその後もいろいろあったんだけど、その話しは置いといて・・・。 で、家で一人で泣いてると、偶然そのH君から電話があった。 「今から飲めへん?」 彼も、つきあっていた彼女・・・ 劇団の先輩だった彼女と別れてからずっと一人だった。 彼は寂しがりやで、まぁ彼はそれを素直に露骨に「もう寂しいねん」といってくるような人で、 で、そんな夜に飲み友達を求めて電話してきた様子。 まぁ、いい気分転換になるかと、「うちも今すっげー飲みたい気分」と返事し、 コンビニで酒を大量に買い込んで彼の部屋にいった。 その時期、大学4年生だった私たちは、別れの季節を迎えようとしていた。 そして私は留年、H君は卒業して就職することが決まっていた。 劇団を最後まで続けていた同期の間で、4年でちゃんと卒業していくのは彼だけだった。 「なんか寂しいわー。みんな残るんやったら、俺も残りたくなってくるわ。」 なんて話しながら、思い出話に花を咲かせ、二人で飲みまくった。 そんな話しの中、私が微妙につきあってた同じ同期の人との関係に、彼ははじめて踏み込んでいろいろ聞いてきた。 私たち同期というのは、それなりには仲もよく、飲んでは語ったりバカ騒ぎをしたり、 まぁいっしょに一つの芝居を作り上げてきたぶん、仲間意識も強かったけど、 そういうプライベートなことになると、私も含め、皆うまく話せないし聞き出せない人たちが多く、 それぞれお互いを探り合ってるような、そんな微妙な人間関係でもあった。 芝居を作っていく上で、普通の友人以上の結束力を培ってきた仲間・・・といえども、 その仲でも、人と人同士の距離、線引きって、難しいもんがある。 「劇団」ならぬ「人見知り同好会」だからな・・・なんていってよく笑ってたけど、 どこまで相手の領域に踏み込んでいいのか、いけないのか・・・。 そのラインを私たちはいつもお互い探りあっていたように思う。 不器用な人が多かったのかもしれない。 私のつきあってた人は、なんか常に人との間に大きな壁があるというか、 近づきにくいオーラ-を発していたような人だったし・・・、 皆は彼のその壁を前に、「自分は必要とされてないのかも」と感じ、 そして当の本人はどんなに大変でも、同期に対して「おめーらが必要だ、手伝ってくれ」といえなかった人だった。 ・・・ま、私もなんだけど。 そんな私たちだったけに、そういうことを直接踏み込んで聞いてくれるのは、私にとってはなんか新鮮で、 そして話していくうちに、いろいろ溜め込んでいたんだろう・・・。 最初はたくさんいた同期の人たちが、どんどん芝居から離れていく中で、 なんか責任を感じてしまった私はあの劇団に残ろうと思ったこと、 そんな背景の中で、だからこそ、同じく責任を感じて演出という役目を引き受けたあの人との関係がはじまったこと・・・。 いろいろ話していくうちに、なんか、ほろりと、泣けた。 ・・・そしてとにかく寒かった。 寒い日には-14℃くらいになる土地なのに、彼の部屋にはこたつしかなかった。 ・・・まぁ私のアパートも似たようなもんだったんだけど。 お互いほんとビンボー暮らしをしてた。 しかもそのコタツ布団は寝る布団になってるし・・・ だから二人でその布団にいっしょにくるまって寝ることになった。 「俺、もしあづみじゃなかったらやってるで」 「それどういう意味やねんな・・・」 「それだけ大事な友達ってことなんちゃう?」 布団の中で、そんな会話をした記憶がある。 「俺、もしあづみじゃなかったらやってるで」 普通はそういう言葉をいわれると女として傷つくのだろうか? でも私は「それどういう意味?」という突っ込みをいれる前から、 彼のその言葉をとても心地よく受け取っていた。 私の心の傷を、なにかと察しがよい彼はそれなりに理解していてくれているんだろうな・・・ と、そんな気がしたのだ。 そして二人して 「あ~幸せになりてぇ~~~!!!!」なんて叫びながらそのままお互いの身体を抱いて眠った。 「あったかぁーーーーーーーーーい」 お互いなにもせずに人間の体温のぬくもりだけを感じあっていつのまにか眠っていた。 彼とはほんとに、ただ仲間で、いい仲間で、その先はなかった。 当時の私と彼の間には、 「たとえどんなに寂しくとも、ぜってーコイツとはつきあわないだろう」というのが、なんかあった。 お互い、そういうことを口にしていた。 ・・・なんか、なんなんだろう。 ずっと仲間としてやってきて、軽口叩き合って、恋愛対象として見れるわけがないというのもあったけど、 私が言う「ぜってー付き合わない」という意味の中には、 「自分自身」というものを保つための意地も含まれていたのかも・・・と思う。 彼は私がエホ証2世であることも知っていた。 私が大学時代に持っていたHP・・・ 今よりももっと「元エホ証2世」色の強かったサイトの掲示板にもちょくちょく書き込みをしてくれてた。 そういえば、彼の元彼女である私の直属の先輩もよく書きこみをしてくれてたっけな・・・。 彼と彼女が直接絡むことはなかったんだけど、でも二人とも同じような話題に触れてはいたんだよねぇ。 ははは。ん~、思えばなぁんか微妙なバランスで成り立っていたのねあの掲示板。 ・・・あれから3年。 そいや、あの頃、この中の誰か一番先に結婚するんだろう、みたいな話しもよくしてたな。。。 私が一番先にするなんて思ってもみなかった。・・・きっと、誰も予想し得なかった。 今にして思えば、人間不信の意識が幼い頃から染み付いていた私は、 大学時代のこうした人間関係を通してからも、 人間というものを哀しくそして愛しく大事に思えるように意識が変化していったんだと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 4, 2004 11:29:16 PM
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