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蒼い空、藍い海

蒼い空、藍い海

暴れん坊さんより5万打お祝い小説

「なんちゃって」の巨匠暴れん坊さんより5万打のお祝いに頂きました。
暴れん坊さん、ありがとうございます~!


ご幼少のみぎりの兄様・・・さぞかし美少年だったのでは・・・(^^;)
イカンイカン・・邪な心は捨てましょう(笑)
ではどうぞ






光る羽虫(朽木白哉)



『朽木白哉には人らしい感情が無い。
そもそも感情というものが欠落して生まれてきたのではないか。』

幼い頃から、白哉はそう言われていた。
幼い頃から、難しい書物を苦も無く読みこなし、感情に流された様子を見せたことも無く、その判断力たるや大人も舌を巻くほどであった白哉。

両親の期待と、貴族の期待をその身に一身に受け育ってきた。

子供らしい遊びや同じ頃の子供との接触は全て取り上げられてきた。
理由はこうだ。

「白哉は他人とは違う。
貴族の歴史に最も大きく名を残す当主にならねばならぬのに、子供の真似事など似つかわしくない。」


忍耐や自制を、徹底的に鍛え上げられ、そしてまたその期待に黙々と答えてきた。

周りには常に、大人の期待と監視の眼差しが降り注いでいる。


・・・確かに白哉は突出した才を持つのかもしれない。

・・・しかしそれでも、子供なのだ。


白哉が、少年の域を超えぬ頃。


既に夜の散歩は、白哉の密かな趣味となっていた。
始めたのは、もっとずっと小さかった頃だ。
どうしても心のもやもやしたものが取れず、寝付けずにいたのを、ふと庭に出てみたのがきっかけだった。
・・・その時やはり何かのストレスを感じていたのであろう。
しかし、その時の白哉は、自分がストレスを抱えるどころか、感じることさえも禁じられているように思っていた。

誰も居ない深夜の庭。
朽木邸は広大な敷地だ。
当然、庭も広い。

庭といっても、屋敷の中には5つほどもあり、最も大きな庭には人工の池も小川も泉もある。その水は付近の川へとつながり、常に新鮮な水が流れるようになっていた。

7月の初頭、深夜。

まだ、少年の面差しが残る白哉の姿が庭の池のほとりにあった。
真白の夜着のままだ。

何かを眺めている。

漆黒の闇の中を、ほのかな光を放つものが、あちこちで飛び交っていた。


蛍だ。


『よいか。白哉。お前はこの朽木家の跡取りなのだ。つまらぬ情なぞ持ってはならぬぞ。

お前は常人と同じであってはならぬのだ。

朽木の当主として、いかなる貴族の模範たることのみを考えよ。』


昼間、父に言われた言葉だ。


「情・・か。」

父が言った事はもっともだ。
自分が、余人と同じであってはならないということは十分理解している。


だが・・・・殺したはずの情が、腹の中で蠢いている様な気がするのもまた事実だ。
ほんの時折だが、それが理性と自制の鉄壁の壁を押しやろうとするときがある。

白哉はそれに対抗するために、更に自制の壁を厚くする。
しかし、また抑えられぬ感情が暴れようとする。

そして、また壁は厚くなる。


年を取るほどに、白哉の顔からは表情が消えていった。


・・そんな自分に疲れを覚えるとき。


白哉は、深夜、ただ一人忍び歩く。


幾十にも飛び交う小さな光。
それは取るにも足らぬ羽虫のものだ。


その羽虫は、番う相手を呼ぶためにその小さな体を精一杯光らせて夜空を飛ぶ。
物言わぬけれど、命がけの自己表現だ。

その光を放つのはせいぜい1週間ほど。
後は、その命は大地へ還っていく事となる。


「こやつ等には・・・自制も何もなかろうな・・。」

短い命を、迷い無く光らせて終わる羽虫たち。
自分とは真逆の存在だ。


しかし、何故か美しいと感じる白哉だった。



いつか・・・自分も感情の赴くままに動くときが来るのだろうか・・。

いや・・・そのような時があってよい筈がない。

朽木の名を捨て去るにも等しい事なのだから。



その時、1匹の蛍が肩先に停まる。
白哉は払うことも出来た。しかしそのままにさせていた。


肩先に1つの光を留まらせたまま・・・・



・・・・白哉は何時までも飛び交う光を眺めていた。







どうでした?
夜の闇に浮かぶ蛍と兄様
情景が浮かんできますでしょ。

で、描いてみたんですけど、これが・・・(^^;)蛍がうまく描けません~(汗)


兄様


ヘタレ絵ですみません。


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