【木工修行】鉋の仕立て(その2)
どーもこんにちは、週末の脱サラリーマンことゲルマンです。前回に引き続き、木工修行で教わったことを綴っていきます。これから研ぎを始めようとしている方の参考になれば幸いです。<目次>台直し鉋とは台直し鉋の仕立て(裏押し)台直し鉋の中研ぎ台直し鉋の仕上げ研ぎ1.台直し鉋とは まず、一般的に木材を削る平鉋(平ガンナ)を新品で買ったとしても、前回お伝えしたとおりそのままでは使えません。平鉋の下端(木製台の下面で木材と当たる部分)を平らにして、平面を出す必要があります。この下端に平面が出ていないと、木材を鉋掛けしても平面が出なかったり、刃先がうまく木材にあたらなかったりします。そのため、下の写真のような下端を調整するための、鉋のための鉋(=台直し鉋)があり、まずこれの仕立てから入りました。かんな 台直し鉋 42ミリ(寸4) 白樫台 刃幅:42ミリ 梅弘 鉋 かんな カンナ 特殊かんな2.台直し鉋の仕立て(裏押し)はじめに、鉋身の裏面(下記写真参照)を裏押し(裏を平面にすること)し、鏡面になるまで仕上げます。まず、金盤(かなばん)に耳かき一杯位の金剛砂(こんごうしゃ)を乗せ、鉋身の頭で金剛砂を細かく磨り潰します(下図参照)。両面金盤 50mm 金剛砂研磨材金剛砂が荒いままだと、裏に深い傷をつけてしまい鏡面に仕上げるのが大変なので、裏の状態がさほど悪くない場合は磨り潰して使用するとのことです。鉋身の頭で磨り潰すと黒部分の色が取れてしまうので嫌だという人は、玄翁で磨り潰すのも良いと思います。磨り潰し終わったら、水を2,3滴(金剛砂の量によって変動有り)金剛砂に垂らし、その上に鉋身を置きます。金盤にしっかりと裏押しする部分を押し当て、両手で上から押しつけながら上下に動かし研磨していきます。あまり頭の方に力がかかってしまうと研いでいる部分と研いでいない部分に段差ができてしまうので、気持ち刃先に力をいれるように研ぎます。始めのうちは「ジャリジャリ」と音がしておりますが、次第にその音が無くなります。金剛砂が更に磨り潰されて細かくなった状態です。そのまま裏が平面になるまで研ぎます。鉋身の上から棒状の板で押し付けながら研げば裏に均一に力が加わるため、最初のうちはこのやり方が確実でした。平面になったら、一度金盤と鉋身についた金剛砂を、しっかり水で洗い流しますその後、一度金盤の水気をとったうえで、改めて金盤に水を1,2滴垂らし、先ほどと同様に水研ぎしていきます。研いでいるうちに水がどんどんと消失していき、カラッからになるまで研ぎ続けます。鏡面になったらお終い。鏡面になっていなかったらもう一度(基本的には1,2回の水研ぎで鏡面になるようで、ならない場合は再度金剛砂での研ぎを行います)。師匠曰く、水が無くなり始めた状態が一番鏡面に仕上げようとしている状態らしく、水気があるうちはやめてはいけないようです。3.台直し鉋の中研ぎ裏押しが終わったら、1000番の砥石で刃先の中研ぎを行います。キングホーム砥石 K−45 176×52×15 キングここから研ぎの難関の始まりです。研ぐときの持ち方は人それぞれのようで、このように持てとは教わりませんでした。ただ、下記の点は重要だと教わりました。砥石に乗せた鉋身の角度を一定に保持できるよう、右手の親指と人差し指以外の指で(右利きの場合)しっかりと鉋身を持つこと左手の人差し指と中指でしっかりと刃先を砥石に押し付けること手首をしゃくらないように研ぐこと(でないと丸刃になってしまう)ちなみに、私は下の写真のように持つスタイルが一番しっくりきました。砥石に鉋身を当てる際は、下図のようにまず刃先と甲の境になる角を砥石に当て、そのままカタッと安定するまで鉋身を立てます。その状態が刃先の平面が砥石面と接触している状態なので、それを維持しつつ狭いストローク範囲(私は5cm位)で前へ研ぎ進めます。あまり長いストロークにすると、どうしても手首がしゃくれてしまいやすくなります。前へ研ぎ進める↓一旦砥石から鉋身を話して少し後退する↓再び前へ研ぎ進める↓砥石の先端まで来たら、今度は後退し砥石面の全体を使用する★重要な点使用する前に、砥石の平面状態を確認する(平面が出ていなければダイヤモンド砥石※等で砥石を研ぐ)→平面が出ていないとそもそも研いだ刃先が変形する砥石の平面確認が終わったら、砥石を水に浸しておく研いでいる最中は、頻繁に水を砥石にかけ、乾燥させないようにする研いでいる最中も、頻繁に砥石をダイヤモンド砥石等で平面ÐSUN UP 両面ダイヤモンド砥石砥石 面直し砥石用 砥石が変形していると、どんなにうまく研げる技量があっても絶対に刃先は平面になりません。私は、ついついケチ癖が出て、中砥石の面直しをしませんでした(あっという間に擦り減っていくように思えて(;^_^A )。そのせいで、気付いたときは修正するのが大変なくらいに刃先が変形してしまってました(泣)。だから、やりすぎと思えるくらいに今は面直しをしょっちゅうしてます。目安は1回/20~30分だそうです。下記条件が整ったら、中研ぎを終えて仕上げに移ります。①刃先に光を当てて均一に反射する②刃先全体の裏面に刃返り※が出る※刃先にバリができた状態。指でなぞるとひっかかるのが分かる程度4.台直し鉋の仕上げ研ぎ仕上げ研ぎでは、中研ぎでついた傷と刃返りを取り、鏡面になるのを目指します。キング砥石 ホーム砥石 包丁研ぎ石 仕上げ砥石 6000番 仕上げ研ぎは、中研ぎとは異なり水を少なめで研ぎます。また、研ぐ際に使用する力もさほど必要ありません。鉋身の表と裏を7:3の割合で交互に研いでいきます(例:表14回研いだら裏を6回の繰り返し)。仕上げ研ぎの最中に出る研ぐそ(とぎ汁)は決して流さず、それを用いてさらに研ぎ進めます。仕上げ研ぎでは、刃先の形状を変更させるような研ぎにはならないので、刃先の欠けや丸刃等は中研ぎの段階で必ず修正しておく必要があります。また、中砥石よりも仕上げ砥石は固いので、研いでいる最中にあまり面直しを意識する必要は無いようです。研ぎ始める前に平面度合いを確認し、凹んでいたりしたら面直しを行う程度です。鏡面に仕上がったら終わりです。では、次回は台直し鉋台の仕込みから綴っていきます。最後までお読みいただき有難うございました。