未定の予定~ラビ的非日常生活~

2006/03/08(水)00:10

東野圭吾 「宿命」

読書感想(作家別 な行・は行)(124)

高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。 東野作品の中でも傑作と言われる「宿命」を読みました。 高い評価を受けるだけあって期待していた以上に楽しめましたし、改めて東野さんの凄さを思い知りましたw 刊行されたのが1990年と初期に部類されますが、このクオリティは飛躍といえるのではと思います。 犯人とトリックだけでなく、タイトル通りに「宿命」と言われる人間ドラマが大きなテーマとなっています。 かってのライバルが刑事と容疑者という立場に分かれ、しかも刑事の元恋人が容疑者の妻になっていると言うドロドロとした人間関係が繰り広げられる・・・と思いきや、意外にあっさりした印象を受けましたw どういう展開をみせるか想像しつつ読んでいたのですが、想像していた様なライバル同士の激しい対決というのではなかったですね。 粗筋にあるような「宿命の対決」もイメージと全く違いましたし「余りにも皮肉で感動的な結末」も早い段階で想像が付いてしまいました・・・。 ただ、予想が付いてなお綿密に組み立てられた人間関係は脱帽ものでした。 解説を読むと、登場人物の年表を作って話を考えたとありましたが、まさに複数の人生を小説で表現し切った作品なのではと思います。 同時にトリックも単純ながら様々な推理が立てられる様な奥深さがあり、重厚な人間ドラマに負けないです。 ともかく、上質なエンターテイメント作品に間違いないですね。

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