未定の予定~ラビ的非日常生活~

2006/07/31(月)23:34

霞流一 「首断ち六地蔵」

読書感想(作家別 あ行・か行)(283)

豪凡寺の六地蔵の首が何者かに持ち去られた。悪質なカルト集団を取り締まる特殊法人・寺社捜査局に勤める魚間岳士は、住職の風峰と調査に乗り出す。が、地蔵の首が見つかるたびに、そばには奇妙な死体が。邪悪な見立て殺人の謎を次々に解決していく魚間たちは、背後に新興宗教教祖の存在を突き止めるが!?超絶技巧の推理合戦!本格魂が炸裂する傑作ミステリ。 最新作「サル知恵の輪」に続いて霞流一さんの「首断ち六地蔵」を読みました。 今作は「赤き死の炎馬」や「屍島」でワトスン役を務めた魚間岳士が登場するなど、他の作品を読んでいると嬉しい場面が多々ありました。 作品としての完成度も高く、霞さんの作品の中では「スティームタイガーの死走」と甲乙付け難い傑作だと思います。 各話で盗まれた地蔵の首が発見される毎に奇妙な殺人事件が発生するという連作作品なのですが、面白いのはお約束の様にレギュラー陣が仮説を構築しては否定されを繰り返す過程ですね。 相変わらずの無茶苦茶な事件にそれなりの説得力を持った推理をぶつけては悦に入るもののすぐに否定されるという繰り返しもマンネリせずに読ませてくれます。 普段よりもギャグは少ないですが、その分ミステリとしての道具立てや徹底的に見立てに凝った姿勢、更には非常に効いている伏線といい本格ミステリとして十二分に傑作と言える完成度だと思います。 個人的にお気に入りなのは「第三首 畜生は桜樹に散る」で、花見の場所取りをしていた男が刺殺されて腹の中にウナギが残されていたという破天荒な設定の短編なのですが、ぶっ飛んだトリックには思わず笑ってしまいましたよw そして、連作作品らしく最終話で明かされる真相も想像を絶するもので、このラストは期待していたのですが、ここまで突き抜けてくれると思わなかったので大喜びでしたw 好き嫌いが分かれそうな作風ですが、ミステリ好きにはお薦めな作品ですね。

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