未定の予定~ラビ的非日常生活~

2007/03/03(土)15:06

道尾秀介 「片眼の猿」

読書感想(作家別 ま~わ行)(117)

俺は私立探偵。ちょっとした特技のため、この業界では有名人だ。その秘密は追々分かってくるだろうが、「音」に関することだ、とだけ言っておこう。今はある産業スパイについての仕事をしている。地味だが報酬が破格なのだ。楽勝な仕事だったはずが―。気付けば俺は、とんでもない現場を「目撃」してしまっていた。 昨日届いた道尾秀介さんの「片眼の猿」を早速読みました。 これまで道尾さんの作品は基本的に後追いで刊行から読めるまでに非常に時間が掛かっていましたが、今回は巡り合わせが良かったのかすぐに読めましたw で、肝心の感想ですが、はっきり言って何を書いても少なからずネタバレになってしまいそうなので普段以上に抽象的に書きますw 粗筋にある通り、主人公・三梨は「音」に関する特技を活かしている私立探偵。 語り手のシニカルな独白でテンポよく物語は進み軽ハードボイルド的な読み心地ですが、当然ながら本格ミステリの要素満載です。 これまでの作品でも見事過ぎる伏線を披露してくれていましたが、今回は更に輪を掛けて凄いと思います。 帯でも「サプライズマジシャン道尾秀介の大技、小技が冴え渡る」や「作者の企みを100パーセント見抜くのは不可能」と自信満々です。 感覚的には大技と言える驚きは少ないと思いますが、これでもかと言う小技の物量は半端ではなく、予想が付いた点は幾つかあったものの怒涛の真相ラッシュの前に溺れてしまいましたw 確かに全ての企みを見抜くのは不可能に近いですね。 キャラ的には、これまでの道尾作品と比べてダントツに立っており、何と言ってもローズ・フラットの面々が最高。 個性が滲み出していると言うか、今作にはなくてはならない存在ですね。 この面子でシリーズ化して欲しいと本気で思いましたw 無理なく結び付くタイトルとテーマも秀逸ですし、これまでの道尾作品と一風変わった読後感も嫌いではないです。 個人的には「シャドウ」よりも好きで「向日葵の咲かない夏」と甲乙付け難いという感じでしょうかw ともかく、この速い刊行ペースで今後も楽しませて行って欲しいですね。

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