城。それは無為にして空虚なる巨大な骸。世界を蝕んだ魔女の悪意の果てに、その城塞は百万の生命を吸い、千万の呪詛を喰らって造られた。事件は、荒野の中心に聳えるこの悪夢の巣窟に、魔導を極めんとする者どもが集いしとき起こる。呪いとしても不条理。魔法としても不可解。殺戮としても異常―数奇にして非情なる謎の果てに、したたる血さえも焼け爛れる、底無しで出口のない連続大量殺人の惨劇が幕を開ける。
上遠野浩平さんの「紫骸城事件」の感想です。
今作は「事件」シリーズの2作目ですが、ジャンル的にはファンタジー・ミステリとでも言うべき中々に興味深いシリーズとなっています。
魔法の存在が大きい世界観ならではの特異な謎は非常に魅力的ですし、ミステリもライトノベルも好きな私にとっては無視出来ない作品です。
伝説的な魔女が築き上げた紫骸城を舞台に魔法大会が行われるはずが、続々と魔導師達が不可解な死を遂げる。
更に城から出られないクローズドサークルの様相も呈し、ぐいぐいと物語が引っ張られて行きます。
ミステリとしても独特のトリックが面白いのですが、この謎解きでは第2の殺人は説明できないのでは・・・。
犯人の細かい工作が見事だっただけに残念に感じました。
あと、上遠野さんらしいリンクは健在で前作「殺竜事件」で噂となっていたキャラが主要登場人物になっているのですが、そのミラル・キラルが思っていた以上に酷い性格ではない気がしますw
ただ、今シリーズの主要キャラの出番の少なさや何とも言えないラストを考えると続編と言うよりは外伝的な位置付けに感じました。
とはいえ、2作目の印象としては全然悪くなくて良かったです。
このシリーズ、既に3,4作目も読み終わっているので今後は最新作を待たなければいけないのが辛いですねw
また後日、感想を書きたいと思います。