未定の予定~ラビ的非日常生活~

2008/06/23(月)12:35

2008年度上半期「MYベスト10」

本に関する話題(312)

先週の予告通り、毎度お馴染みの「MYベスト10」をお送りします。 今回は2008年度上半期ベスト10と題しまして、私が昨年の12月頭から今年の5月末までの半年間で読んだ本の中から自らの好みで選んだ小説作品のランキングを発表します。 例年通り「長編」と「短編」の2部門に分けていますが、これも例年通り「ベスト10」ながら20位から発表させて頂きますw まずは、長編部門からですが、20位から11位はまとめて、10位から1位までは1作ずつ簡単なコメント付きで書いていきます。  <長編部門>  20位・有川浩 「空の中」  19位・道尾秀介 「ラットマン」  18位・宮部みゆき 「ブレイブ・ストーリー」  17位・西尾維新 「DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」  16位・倉阪鬼一郎 「四神金赤館銀青館不可能殺人」  15位・久保寺健彦 「ブラック・ジャック・キッド」  14位・近藤史恵 「サクリファイス」  13位・森見登美彦 「有頂天家族」  12位・乾くるみ 「リピート」  11位・三津田信三 「厭魅の如き憑くもの」 一気に11位まで書きましたが、多ジャンルに分かれた前回に比べて今回は原点回帰と言うべきか本格ミステリ作品が多くなった感があります。 特に16位に選んだ「四神~」には実験的なトリックが登場するのですが、そのトリックのインパクトだけで16位に選らんでおり、どんだけ好みだったんだ自分!と呆れておりますw  10位・西澤保彦 「聯愁殺」 いつまで経っても文庫化されない西澤作品の鬼子でしたが、論理的な積み重ねに独特の世界観も合いまった傑作で完成度は非常に高くて後半に取って置いて良かったです。 また、こういう作品を書いて欲しいですねぇ。  9位・真山仁 「ハゲタカ」 ご多分に漏れずドラマ版から入りましたが、原作は原作で痺れました。現実の出来事をベースに日本経済の実態を分かり易く描いている良作です。 2作目を経て、まだまだシリーズが続きそうな雰囲気があるので今後も注目です。  8位・乙一 「The Book jojo`s bizarre adventure 4th another day」 乙一さんによる待望のジョジョ・ノベライズですが、原作の雰囲気を壊さない戦闘シーンや豊富な小ネタの数々はファンには堪らないです。 ここから両作者のファンになって行って欲しいと素直に思える作品で、これまで読んだ中で最も理想的なノベライズ作品なんじゃないかなと思います。  7位・古川日出男 「サマーバケーションEP」 昨年の長編年間1位に選んだ「アラビアの夜の種族」とは全く毛色が違うものの引き込まれずにはいられない現代の寓話という感じで非常に楽しめました。 東京の地理を多少でも思い描ける様になった引越し後に読めて本当に良かったですw  6位・三津田信三 「首無の如き祟るもの」 惜しくも本格ミステリ大賞は逃したものの本格ミステリとしての仕掛けの見事さと相変わらずの雰囲気ある文体が光ります。「厭魅~」等と比べて格段に向上している文章の読み易さもプラス要素。 既に4作目「山魔~」が出ているので、そちらもチェックせねば!  5位・伊坂幸太郎 「ゴールデンスランバー」 今回も仙台を舞台にし、得意の伊坂節や魅力的なキャラが多数登場する反面、見事だけど何とも言えない読後感のあるラストは意外でした。過去の伊坂作品と比べ、随所で変化の兆しの様なものが見え隠れしている印象を受けました。 こういう作品を読むと今後の伊坂さんの活躍を期待せずにはいられないです。  4位・桜庭一樹 「私の男」 遂に直木賞受賞という大快挙をやってのけた話題作。 いつも以上に物静かながら気迫のようなものを感じさせる文体だけでなく、過去に遡るという構成で更なる効果を生んでいると思います。 個人的には「赤朽葉家の伝説」の方が好みなのですが、こちらの存在感はちょっと忘れ難いですね。  3位・有川浩 「海の底」 冒頭からクライマックスを思わせる展開がとにかく素晴らしい。 謎の甲殻類の襲撃の為、潜水艦に逃げ込んだ問題児の自衛官2人と少年少女を軸に全編に緊迫感溢れる展開がエンターテイメント小説の真髄を教えてくれます。 作者ならではの甘い恋愛模様も巧く作用した傑作です。  2位・有栖川有栖 「女王国の城」 本格ミステリとしては「首無~」の方を高く評価していますが、やはり青春ミステリの草分けとしての魅力は何年経っても色褪せずに楽しませてくれました。 その今シリーズもいよいよ次の5作目で完結予定ですが、最終作の登場まで首を長くして待ちたいと思います~。  1位・誉田哲也 「武士道シックスティーン」 このランキングを作る際、予想外に好きな作品が登場し、思いの外上位に並べる事も多々あったのですが、こうして1位に選んだのは初です! それだけ今作に惚れ込んだという事でタイトルが気になって何となく手に取った自分を自画自賛してやりたいですよw あえて、詳しい内容は書きませんが青春小説の新たな地平を切り開いた大傑作なのではと思います。 実は今夏に「武士道セブンティーン」という続編が出るらしいので滅茶苦茶楽しみです!!  <短編部門>  20位・津原泰水 「ルピナス探偵団の当惑」  19位・大倉崇裕 「三人目の幽霊」  18位・綾辻行人 「深泥丘奇談」  17位・石持浅海 「心臓と左手 座間味くんの推理」  16位・斎藤肇 「たったひとつの 浦川氏の事件簿」  15位・橘玲 「悪玖夢博士の経済入門」  14位・万城目学 「ホルモー六景」  13位・歌野晶午 「ハッピーエンドにさよならを」  12位・光原百合 「最後の願い」  11位・有川浩 「クジラの彼」 毎回、長編部門以上に悩む短編部門ですが、今回もご多分に漏れず悩みに悩みましたよ。 さて、11位までは長編同様に本格ミステリ率が高くなっていますね。 それ以外では、書かない恐怖を煽ってくれた「深泥丘奇談」やコミカルなファンタジーとしてだけでなく、今後の展開が非常に楽しみになった「ホルモー六景」も印象的です。  10位・北村薫 「1950年のバックトス」 バラエティに富んだ短編揃いで名手・北村さんらしい満足度の非常に高い作品集。 多彩なネタの切り口は勿論、それを見事に調理し、独特の風味を出す文章力と発想は毎度ながら脱帽です。  9位・小林泰三 「モザイク事件帳」 パロディ中心の短編集としては、かなりの抜擢といって良い高い順位に位置付けましたが、いや好みど真ん中なので仕方ないですw 本格ミステリの道具立てを使い、何でこんな事にと感じる馬鹿馬鹿しさやブラックさが堪らんです、ハイ。  8位・有川浩 「阪急電車」 今津線の阪急電車を舞台に乗客の人間模様を描いた群像小説。 有川作品ならではの甘い恋愛話も登場したかと思うと、ドロドロとした話も挿入されてといった具合にメリハリがあって自分も乗客になったつもりで頭から尻尾まで楽しめましたw  7位・森見登美彦 「きつねのはなし」 十八番の京都を舞台とした不可思議な話・・・とは言え、他の森見作品とは一線を画すシリアスかつホラータッチな雰囲気が非常に新鮮です。 馬鹿な大学生達が大騒ぎという話も大好きですが、こういう作風の広さを見せられると痺れますね。  6位・加納朋子 「モノレールねこ」 好みの作品が多い為、このランキング常連の加納作品ですが、やはり今回も選びました。 ノンシリーズの短編集なのでバラエティ豊かで楽しめましたが、お気に入りは表題作と「バルタン最後の日」ですね。どちらも絶品。  5位・藤野恵美 「ハルさん」 東京創元社の伝統芸・日常の謎を扱った作品ですが、片親で子育てをした父親が娘の結婚式直前に2人で過ごした日々を回想するという設定が既に反則ですよ~。引き込まれない訳がない!w ミステリとしても及第に楽しめますし、あまりにも見事なラストは非の打ち所がない。  4位・恒川光太郎 「秋の牢獄」 常に期待を裏切らない書き手だけあって収録された3編全てが傑作と言って差し支えなし。 題材自体に真新しさは薄いのですが、それを独特の世界観に嵌め込む手腕は圧巻ですよ。 何と言うか、これからどこに辿り着くのか目が離せないですよ。  3位・森見登美彦 「四畳半神話大系」 「きつねのはなし」とは全くもって対照的に感じる「馬鹿な大学生が大騒ぎする作品」ですww 大学入学直後の選択肢から枝分かれした四通りの世界を描いて行きますが、ゲーム的な設定なので受け容れ易いのではないでしょうか。 この破天荒さが森見さんらしさですし、間違いなく今後も追い掛ける作家さんですね。  2位・小川一水 「老ヴォールの惑星」 2006年の「SFが読みたい!」で1位に選ばれ、非常に完成度の高い傑作揃いの作品集。 特に地下迷宮に投獄された人々が動物の様な生活を強いられながらも人間らしさを求める「ギャルナフカの迷宮」が素晴らしく、、絶望に近い状況ながら常に前向きに進もうとする登場人物達に強烈に引き付けられました。 未読の長編が多く手元にあるので読むのが非常に楽しみです!  1位・津原泰水 「ルピナス探偵団の憂愁」 1作目「~当惑」に続けて読めたというタイミングの良さが全てを決めたと思います。 高校生探偵団の活躍が「who」ではなく「why」に重点を置くという一風変わった形式で描かれた「~当惑」に比べ、ミステリ色は薄れた感もあります。 しかし、探偵団の1人の死が告げられる冒頭に衝撃を受け、あまりにも美しいラストには号泣しました・・・。 当然ですが、読む前に「~当惑」を読んだ上で読み進める事をお薦めします。 そんな訳で、2008年度上半期「MYベスト10」は上記の結果に決定しました! まだまだ先ですが、6月頭から11月末までに読んだ作品で作成する下半期ランキングを併せて年間ランキングを作成したいと思います。

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