エモーショナル・ヴァンパイア リターンズ (2): 守りましょう、あなたの自尊心。【前編】
おとといはアイアンガーヨガ・レベル1の秋期(前半)クラスの最終日でした。今日の担当は、凜とした雰囲気の中に、時々お茶目な部分を覗かせてくれるCindy先生です。(日本人体型の我々には望むべくもない、そのスラ~ッと長いおみ足でもって決める三角のポーズ、いつも見とれてしまいます...。)クラスを始めるにあたって、Cindy先生はいつもの如く、アイアンガーヨガの創始者・B.K.S.アイアンガー師の著書"Light on Life"(邦訳未刊)から、こんな言葉を読み上げてくださいました。もしあなたが幸せに満ち、心地良さにあふれ、他者への思いやりを忘れずに振舞えるようであれば、行く手を阻む障害もやがて小さくなっていく。もし、情け心を出し惜しみし、相手に対し批判の目ばかり向けていれば、行く手を阻む障害はますます大きくなっていく。(Iyengar, B.K.S., with John J. Evans and Douglas Abrams. Light on Life. Rodale, 2005)あらま、これって、立派な「引き寄せの法則」じゃないですか!我々が自分の中に抱く思いの質が、外の現実世界を形作るのだ...ってことを指しているのですから。この一節を聞いた途端、「よっしゃー!!!」...心の中で、ガッツポーズしちゃいましたよ。今の自分に与えられた激励メッセージだな、って、直感的に思ったのです。「君は今、正しい軌道に乗っかっているよ。この調子で進みなさい。」って、背中をやさしく押されたような、そんな天界の【親心】のようなあたたかさが胸いっぱいにしみわたりました。喜びいっぱいの瞬間で幕を開けたその日のクラスは、期待を裏切ることなく、最後の最後まで快さと穏やかさとに満ちた、素晴らしい1時間30分となりました。最大の山場が大好きなアサナ(ポーズ)のショルダースタンドっていうのも、心地良さ度UPに貢献したのかな~。ちなみに、ショルダースタンドって、こんなポーズです。http://yogajo.jp/pose/detail/87.html私の場合、眼精疲労には抜群に効きます。ヨガなんて知らなかった高校生の頃から無意識のうちにこれを繰り返し、数年後には視力が0.1前後から1.0まで上がってましたよ、いつの間にか。(しかも間に大学受験を挟んでいるというのに!)さて、前置きが随分と長くなりましたが、本題に入りましょう。「エモーショナル・ヴァンパイア リターンズ」シリーズ、今日も続きます。前回の日記、最後の部分では「もし、心を☆ドピーカン☆級のポジティブに保ち続けていれば、エモーショナル・ヴァンパイア(心の吸血鬼=あなたの周りの困ったさん)も、『どうも調子狂っちゃう』と諦めて、早々退散してくれるかも???」と、まぁ、何と言うか、「トンデモ仮説(笑)」を打ち上げてみました。ブログ一回分あたりの制限字数に達してしまったため、言いたいことが尻切れトンボとなってしまったのですがね。何を言いたかったのか?つまりですね、「確かに、ヴァンパイアさんたちはなかなか手強いぞ。 こっちが泣きを見るようなことがないよう、何らかの対策は必要だ。でも、だからと言って、敢えて真っ向から闘いを挑むようなことはしたくない! 」...ってことです。小学生の頃よく言っていた「バカって言ったらそっちがバカ~!」レベルの低次元にまで落ちてしまう、そんな気がしてならないんですよね。 2011.8.06の日記でも何冊かご紹介しましたように、ここアメリカ、特に心理学・精神医学畑の専門家の手による著作には、「悪いのはあっちだ!泣き寝入りせず、さぁ、立ち上がれ!」型の対処法を説くものが目立ちました。一年前、自分では仲良しと信じきっていたご近所さんとの関係が完全にぶっ壊れてしまったのですが、さすがにそんな情けない事実を子供に知らせたくはありませんでした。ですので、家の中ではできるだけ平静を装い、「大丈夫だよ」を取り繕ったんですね。怒り、悔しさ、心の傷み...など、あらゆるネガティブな感情をを無理矢理封印した、ということです。相当ストレス溜まりました。何でもいいから、この監禁状態から抜け出したい...。表には出さなかったものの、もがく日々が続きました。そんな私の気持ちをグッと楽にしてくれたのが、以前何回かにわたって紹介したアルバート・バーンスタイン博士の著書"Emotional Vampires"(邦題・あの人はなぜあなたを疲れさせるのか)です。確かに、心がズタボロに疲弊している時って、そういった「悪いのはあっちだ」的論調に触れることは、「応急処置」としてならば、有用だと思います。孤独な闘いを続ける自分だけのために元気に声上げ(足も上げ☆)ながら踊ってくれるチアリーダーさんたちのように、とても頼もしく、そして、嬉しく感じられるものです。「この著者、私の気持ちをわかってくれている!味方だわ!!!」...ってな具合に、すっごーくいい気分にしてもらいました、バーンスタインさんには。そうやって少しばかり元気を注入してもらえてはじめて、実は自分がずっと怒りを押し殺していたんだな~、ってことを、少しずつ、意識するようになってくるんですね。「そーよね!私は悪くないのよね!あの人の方がおかしいのよね!プンプン!(よくぞ言ってくれた!)」と、溜め込んでいた怒りのはけ口を与えてもらったことで、かな~り救われたのは事実です。落ち込みのどん底から這い上がるためには、あの「プンプン!」という怒りのエネルギーが大きな助けとなったこと、今ではよく理解できます。バーンスタインさんの本は、ブラックなユーモアが随所でピリリと利いているのが最大の魅力ですね。身の周りの困った人達を「吸血鬼」としていくらか戯画化しながらも、決して下卑た調子にはなりません。読む側の被害者意識や、好戦的な態度を過度に煽ったりせず、心理学者としてニュートラルな立場を貫いている点は、大いに評価して良いと思います。Amazon.comで評価が高いのにも納得です。これは「ずっとキープ」の一冊になりました。ただ、他の本は...というとですねぇ、2010.09.23に既に書いた通り、「何か違うんじゃないか...?」という違和感を感じるものが多かったです。書き手が、冒頭のアイアンガー師の言葉の通り、「情け心を持ち合わせることなく相手に対し批判の目を向けていれば、行く手を阻む障害はますます大きくなっていく」...どうも、読者に対し、勝ち目の無い不毛な闘いばかりを煽っているような、そんな気がしてなりませんでした。やっぱり、筆致にユーモアが感じられないとこんな調子に陥りやすいのでしょうかね。精神科医(私の大好きな「ポジティブ・エネルギー」他の著者・ジュディス・オルロフ博士は違いますけどネ☆)や心理学者といった肩書きの人に、そのような見方をする人が多いのが興味深かったです。商売柄、人間の暗部・ネガティブな部分に焦点を当てることに慣れすぎてしまっているからなのでしょうか?健全な方向へと向かうベクトルがどうも欠けているなぁ、と、読んでいて物足りなく感じるようになっていったんですね。そうした陣営からの見解ではありますけど、こちらの本はなかなか面白かったです。ストレスマネジメントを専門とする臨床心理学者・ハリエット・ブレイカー博士の"Who's Pulling Your Strings?"(誰があなたを操っているのか?)です。 Who's Pulling Your Strings?: How to Break the Cycl...著者:Harriet B. Braiker価格:3,192円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見る上↑の本の邦訳は出ていないのですが、「思わずYESと言ってしまう自分―NOと言う勇気があなたの心を軽くする(原題:The Disease to Please)」 他一冊の翻訳ならば、中古で入手可能のようです。残念ながら、2004年にまだ55歳という若さで肺炎により急死されたとのことです。まだまだご活躍が期待されていたのでしょうに。詳しい内容の紹介は次回に譲るとしますが、私なりにこの本から一つだけ吸収したものを挙げよ、と問われたら、これですね。「エモーショナル・ヴァンパイア(あなたの周りの困ったさん)との係わり合いによって最もダメージを被る部分、それは...自尊心(self-esteem) である。」些細なきっかけで「私ってダメダメスパイラル」の底へと落ち込みやすい自分にとっては、とても有り難い助けとなった一冊でした。後編へと続きます。