写真はどこへ
みんな並んで記念写真を撮らなくなった。各自スマホにその度に撮って自分でスマホに保管する。昔のようにアルバムを開いて見るのは無くなって、人から写真を見せられるのは、その人のスマホを借りて見るしかない。余計な写真を見ないように気を付けながら。以前、イベントで当時の常磐ハワイアンセンターの写真展を見に行ったことがある。建設中の建物や営業が始まってからの中の様子など。中でも働いている人達がカメラに向かっての記念写真に目を奪われた。フラダンスの衣裳を着たダンサーや作業着姿の人達。昭和40年前後。まだ日本の特に地方は貧しくて、写真に写っている人達も、着ているものも質素ではあったが笑顔で写ったいた。気心の知れた仲間達との記念撮影。何故か泣けてきた。なぜだろう。当時の自分や家族を思い出したから?貧しくても将来には希望があったし、大変ではあるものの、みんな助け合って生きていた。なにかのイベント(冠婚葬祭、家の新築、引っ越し等)があれば否応なく人の手を借りなければ何もできなかった。今は、各自イベントも手軽に家庭でできるし、大きなものは業者頼みで近所や親戚を頼らなくても良い。費用は掛かるが、人への気遣いに疲弊するよりは気楽で良い。そのかわり、思い出は減ってしまった。他人と関わって嫌な想いをすることもない代わりに、その関わりでの楽しい思い出も無くなってしまった。今現在の人生後半にきてやっと荷を下ろしてゆっくりできそうになってきて、でもやっぱり当時が懐かしい。宝物のような写真も私が死んだら 陽の目を見ないままになってしまうのだろうな。