不妊治療の培養室から

2013/01/31(木)09:05

異常受精胚の取り扱い

 体外受精、顕微授精において、代表的な異常受精といえば、1PN、3PNが挙げられるかと思います。1PNでは、染色体数が2PNの1/2しかないですし、3PNでは3/2倍なので、正常に発育しない可能性が極めて高く、このような異常受精由来の胚はいくら形態が良くとも一般に移植候補から除外されます。  ただ、1PNの中でも、早期にPN2個が融合することにより、比較的大きな直径の1PNを形成した場合には、染色体数が正常の可能性があり、実際にこのような1PN由来胚から健常出産例が報告されているそうです。  また3PNにおいて、ICSI由来の3PN胚(第2極体放出不全)は発育が進んでもそのまま3PNの倍数性が維持されるので染色体数が異常のままですが、conventional-IVFにおける3PNの場合(2個の精子が卵子内に侵入)は、分割途中で余剰染色体を失って2PNに変化する可能性もあるそうで、同じ3PNでも受精法によって発生経過が変わる可能性があるとの話もあります。  しかし、3PN胚は妊娠した場合、胞状奇胎になる可能性もありますので、原則としては移植すべきではないでしょうし、移植するにしてもこのような話を十分にして、納得の上でないといけないと思うのですが…。

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