皆さま耳慣れないとは思いますが、今回はAZF(AZoospermia Factor;無精子症因子)遺伝子についてお話いたします。
男性のY染色体上にある“AZF遺伝子”は、精子形成に大きく関与していることが知られています。AZF遺伝子にはa、b、cの三つの領域があり、この領域は精子形成に必須であるタンパク質合成に関わっていることが分かっています。
近年の研究でこれらの領域に欠失が生じると、精子形成能に悪影響が出ることが分かってきました。
これらの領域の中でもとりわけ、a、bは重要と言われており、a、bのいずれか一つでも欠失していると、精巣内精子採取術(TEsticular Sperm Extraction;TESE)という手術を行っても、精子が回収できない可能性が高いということも明らかになってきました。
よって、施設によっては、このa、b領域の欠失によってTESEを行わないこともあるのかもしれませんね。
Cの欠失については必ずしも無精子症になるわけではないようですが、男性不妊の原因になりうるわけですし、子供さんができてもCの欠失自体は遺伝しますので、カウンセリングはさらに重要なのかもしれませんね。
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