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漫画家・写真家玉地俊雄 紫煙のゆらぎ

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2008.04.22
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カテゴリ:紫煙のゆらぎ
      

        紫煙のゆらぎ・ほんとうにこんな夢をみた 1




明るい早春の坂道を上ってくる女学生と従者とおぼしき女性。

石段のひとつひとつは、妙に高さがあり彼女らには少しきつそうに見えるのだが、
通いなれているのか、静かに、どこか優雅な足取りで近づいてくる。

石段は不ぞろいであるが正確な角があり、
その隙間には雑草の芽や小さな名も知れぬ花も見えている。

近づいてくるに従い、少女の、
印象的でどこか遠くを見るような目に見とれている僕の数段下で、
突然彼女は仰向けに打ち臥しあばれ始めた。

「ど、どないしたん。あんた、なんか?…」

彼女は声を発しないまま苦しそうに、辛そうに手足を空へ向け、
まるで署ルみ取れない何かがもどかしい、
という有様を訴えているようにみえて僕を混乱させた。

連れの女性がいとも平然と言葉を発する。

「この娘には秘密があるのです。」

その、秘密という謎に引き寄せられて近づいた僕の至近距離で、
立ち上がった女学生の細い首のすぐ横から、
もうひとつ、ずんぐりとした首が左側から立ち上がった。

憂いを秘めたような右側の顔とは違って、
無垢で、不思議な微笑をたたえた赤ん坊の顔が僕の目を射抜いている。

「ああ、あんたは二重胎児やったんか」

僕は、いとも自然に赤ん坊のほほに近づいてほほずりをした。

見た目には解らなかったが、皮膚の表面は象の皮膚のように硬くて中はやわらかく、
硬くて短い産毛があった。不思議な感覚と感触である。

「わたしはあそべないの」

抑揚のない言葉を右側の少女が発するが、もう片方の顔はただにこにことわらっており、
僕の深いところへ何かが染み込む。

「わたしは愛媛へいってみたい」

僕は混乱していたが、自然に、何とかしてあげたいとの気持ちが起こり、
友人に連絡をとることにした。

ここは誰? 私はどこ?。そんな事はあまり気にならない。

海に夕日が沈む高い窓辺で彼女たちは外を見ている。

見知らぬ友人知人たちと粗末な食事をしながら、
彼女たちの始めて見るかもしれない落日を楽しむ後ろ姿が逆光にまぶしく、
僕が貸してあげたVIDEOカメラで遠くを撮影しているのも嬉しいと感じていた。

両親と先ほどの女性とがあたふたとやって来て、迷惑そうな表情で話しかける。

「時間が遅くなったので、二つの首を取り替えたい」

白い紙箱には電池の入った無表情の二つの首が入っている。

戻ってきた彼女たちの表情と顔は悲しげに、そして、少し変容を始めていた。

「できるだけ、恐れず、外へ遊びに連れていったって………」

2008年4月22日                   こんな夢を見た。



社団法人日本漫画家協会会員・参与
                             玉地 俊雄

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http://plaza.rakuten.co.jp/balitama/


篆刻  トゥモロウ・イズ・アナザデイ





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最終更新日  2008.08.11 18:11:30



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