紹介文
奈良の山村で両親や祖母、いとこの栄ちゃんと暮らす、みちるの夏の物語。長く携わってきた鉄道建設が中止となり、張り合いを無くした父が、みちるが18歳の夏祭りの日に自殺。家族は静かに崩壊していく…。静謐な日常をとおして、少女は受け継がれていく「生」の意味を知る。カンヌ映画祭の最優秀新人監督賞受賞作を、監督自ら小説化。
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確か元ミス日本が映画撮ってカンヌとったんじゃなかったっけ?
という印象だけで読んでみました。
映画が先で、小説は同監督が映画をもとに書いたとのことでとても文章が映画的。
映画観てないけど田舎のむせ返るような緑の濃さや空気の濃さが伝わってきます。
こんな感じとか、
こんな感じとか。
物語はそんな『空気感』が主役で職をなくした父が自殺すること以外には
ストーリーらしいストーリーはありません。
ノスタルジックな風景の中、18歳の女の子の甘酸っぱい恋心と寡黙で暖かい家族の情景。
自然はいつまでもそこにあるけれど人のほうは変わっていくっていうさびしさというものが本当に絵画的に書かれていました。
感想書くまで画像検索しなかったけど、読みながら描いていた風景はまさにこんな感じだったもの。
ひとつだけ違和感があったのは、父の自殺する前日父に代わって働き始めた母が倒れて学校から帰ってきた主人公が父に『お父さんが働けばいいのに』『お母さんこんななってんのに』と言うのですが、その次の日に自殺したというのに主人公全く罪の意識なし。
主人公の言葉が原因で死んだわけではないにしても、普通は罪悪感感じませんか?
父の不在による存在感、というものは強調されているけれど登場人物たちの悲しみ方にイマイチ現実味がないというか、そこまで絵画的というか。
全体的におとぎ話のような作品でした。
映画は・・見るかなぁ?