取るに足らない日々の出来事

2005/06/18(土)23:24

カジカガエルの美声をたしなむ夕べ。

景色(19)

今日、友人に誘われて 「河鹿蛙の美声を嗜む夕べ」に参加してきた。 河鹿蛙=カジカガエルとは、日本特有のアオガエル科のカエルで 本州、四国、九州に分布していて、谷川の岩間に棲んでいる。 その鳴き声が美しいことで有名で 昔は、カジカガエルが鳴く季節になると 夜店や土産物屋などで様々に工夫された籠の中に入れられて、売られていたらしい。 昔の人は風流な生活を送っていたのだな、と思う。 俳句では、河鹿蛙という言葉が夏の季語になっていて 多くの著名な俳人達に詠まれてきた。 しかし、最近は多くの河川改修などの影響でその数が減少してきており、 レッドデータブックにも掲載されている希少なカエルなのだ。 地元に、このカエルを保存しようと研究し、 カエルを捕獲して卵を孵化させ、おたまじゃくしを放流している人がいた。 この方は、放流することが目的ではなく、 昔のようなきれいな清流が戻り、 カジガガエルや他の生物が自然に生息してくれる環境にしたいと訴えている。 今日の「河鹿蛙の美声を嗜む夕べ」も、この方が中心になって開催されたのだった。 カジカガエルは、オスが体長4センチ、メスが7センチくらいだ。 雌雄の間でこんなに体長の差があるカエルはあまりいないらしい。 個体数自体もメスの方が少ないらしく、 オスはメスの気を引くために美しい声で鳴く。 一番美しい声で鳴いたオスが、メスに受け入れられるのだ。 私は、今日はじめてカジカガエルの実物を見た。 石と同じ色で、小さく引き締まった綺麗な体をしていた。 つぶらな目が印象的だった。 口元がつんと尖っているのが可愛らしい。 カジカガエルは、意外と人間を恐れないらしく、 カメラを近づけてもほとんど驚いた様子もなかった。     河原に腰掛けて、生まれて初めて生のカジカガエルの声を聞いた。 ヒュルルルルルルルル・・・ ヒュルルルルルル・・・・ と、小鳥がさえずるような高くて美しい声だった。 声を聴いた瞬間、体の芯から感動した。 姿を見ずにこの声を聞いた人には、 カエルの声だと説明してもなかなか信じてもらえないらしい。 よく知っているアマガエルやウシガエルなどの声からは 想像もつかないような美しくて澄んだ声。 蛍も辺りをふわふわと飛んでいた。 周りには、何もない田舎だ。 だけど、こんなに素敵なことがあるたびに ここに住んでいることを幸せだと感じる。 *** くいくいとほろほろと夜の河鹿かな  石塚友二 河鹿鳴いて石ころ多き小川かな  正岡子規 河鹿なきおそ月滝をてらしけり  飯田蛇笏 河鹿きく我衣手の露しめり  杉田久女 潤声に河鹿は玉を転ばしむ  大橋敦子

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