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テーマ:ショートショート。(1084)
カテゴリ:小説
「この家は呪われています!」
「ええ?」 「今まで、何かおかしなことがありませんでしたか?」 「実は…」 「そうでしょう、そうでしょう。」 「何度もお払いをしたり、魔よけを置いたりしてるんですが。」 「効き目がないんですね。いくら働いても生活は苦しいままで、貯金も出来ず、将来を思うと不安でたまらない、いかがですか?」 「ああ!その通りです!家相が悪いんでしょうか?」 「それもありますね」 「建て替えも勧められているんです。でも…。」 「確かに効果はあるでしょう。しかし、家計に余裕がない、と。」 「どうしたらいいんですか?!」 「大丈夫、もっと安くて効果的な方法がありますよ。」 「お願いします!」 「ちょっと調べさせて下さい…ああっ!」 「何ですか、一体?!」 「見てください!こんなところに呪文が!これは呪いの呪文です!」 「い、いつのまに…」 「よろしい、私が呪いを解いた上で消してさしあげよう。」 「あ、ありがとうございます…」 「…、さ、これで安心ですよ。」 「よかった…あの、これお礼といってはなんですが、少しですけど…」 「いやいや、そんな…それでは頂戴いたします。」 その呪文は、表札に書きこまれていた。油性マジックで。 訪問販売の業者が使う符牒で、訳すと、 “この家はちょろい。霊感商法に弱い。” お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/05/25 04:58:36 PM
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