ばんば牧場便り【 Vol.005 】インフィニティーが暮らす村田律雄さんの牧場
今回は、インフィニティーが暮らす幕別町の村田律雄さんの牧場を訪れました。2014年にばんえい記念を制したインフィニティーは、2016年に引退、種牡馬入り。初年度産駒は今年1歳です。子どもは草ばん馬でも好成績を残しており、今年も60頭近く種付けを行うなど人気。来年のデビューが楽しみです。村田さんに産駒の良さを聞くと「特別大きいというわけではないが、バランスがいい」とのこと。今年もメムロコマチやフェアリードール、ハクバビューティーなどが種付けを行ったそうですよ。今年7月に行われた「十勝総合畜産共進会」でも「吉の雛菊」が最高位を受賞しました。幕別町からは34年ぶりだとか。さて、村田さんの牧場には馬産の礎となったさまざまな名馬が種牡馬入りしていました。牧場の入り口にある大きな馬の看板父の代から50年以上続く馬農家で、村田さんも30年以上馬にかかわってきました。「久都(きゅうと)」という純ペルシュロンからスタートし、ムジークなどのペルシュロンの種馬を管理。もともと「幕別はペルシュロンの町」といわれるくらいペルシュロンの多い土地柄だったそうです。その町に1974年、アメリカから輸入されてきたのがベルジャン種の「ジアンデュマレイ」です。「ジャンデ」と呼ばれたジアンデュマレイは、同時期に輸入された同じベルジャン種のマルゼンストロングホースとともに人気を集めました。ペルシュロンとブルトンが主流だった時代、ベルジャンの血統が入ったことで力比べだったばんえいはスピード勝負へと変化してきました。ベルジャンはペルシュロンとの掛け合わせで活躍しましたが、その一つには幕別にペルシュロンが多かった地域背景もあるのかもしれませんね。ジャンデのあとにやってきたのが、初の1億円馬キンタローです。入り口の看板に描かれているのもキンタロー。ファンが多く、1986年に種牡馬入りした際には大フィーバー。近くの町をパレードし、ファンや芸能人の取材が殺到したそうです。幕別町内の「杉野菓子店」(本町122)では「キンタローもち」も販売されています。梅と白あんを求肥で包んでおり、ジューシーでバランスが良く、とてもおいしいお菓子です。機会があればぜひご賞味ください。サダエリコやハイトップレディ、コスモカップ、最近ではホクショウダイヤなどを輩出した重賞10勝のダイヤテンリュウもいました。きょうだいにヨウテイクインやニセコクインがいる「華麗なる一族」で、現在は母父としても活躍馬を多く輩出しています。最近ではばんえい記念馬ニシキダイジンも過ごしていました。3世代しか遺せませんでしたが、メジロゴーリキやゴールデンフウジンなどの重賞勝ち馬をはじめ産駒が活躍していますね。村田さんはダイジンについて「力があり、性格が素直。ばんえい記念を勝つ馬を出してほしいね」と話していました。同時期に、カイシンゲキやフェアリードールの父サンデーブライアンも隣の馬房にいました。性格はも「皆おとなしい」と。「強い馬は利口。人間の言葉がわかる」そうです。それだけの信頼関係を、村田さんがつくっているのでしょうね。現在、牧場にはインフィニティーのほかにもう1頭、マルニセンプーがいます。今年の2歳が初年度。頭数か少ない割に、マオノダイマオーなどの活躍馬がいます。マルニセンプーの血統を見ると、祖母の父がキンタロー、父父がダイヤテンリュウ、母の祖父がジャンデと、村田さんの牧場にいた馬たちの結晶! ここにも血統のロマンがありますね。村田さんは見学について「見に来てください」とおっしゃっていました。取材/小久保友香、小久保巌義